「店舗の準備と仕入れ」
第2話では、商店の開業準備が進み、ルカと父が初めての仕入れに挑戦します。商売の基本となる「仕入れ」と「在庫管理」の重要性を学びながら、実際の店舗経営における簿記の役割にも触れていきます。商品が揃い、いよいよ商店が形になっていく様子をお楽しみください。ルカが簿記の知識をどう活かしていくのかに注目です!
父タケルが商店の開業を決意してから数日が過ぎ、店舗の準備が本格的に始まった。内装のデザインを決め、必要な備品や商品を揃えるため、父とルカは仕入れの計画に取り掛かる。
「まず、商品を仕入れる必要がある。商店の売り上げは、商品の仕入れと販売から成り立つからね」と父が言った。
タケルは、売りたい商品のリストを見せながら、商品の選定や仕入れ先について説明する。実際の商売では、どんな商品をどれだけ仕入れるかが大切で、過剰な在庫を抱えないように気を付ける必要があるのだと父は教えた。
「これが、在庫管理の基本さ。仕入れ過ぎても売れなければ無駄になり、足りなければお客様に迷惑がかかる。だから、適切な仕入れをするための計画が大事なんだ」
ルカは納得しつつも、商品ごとに異なる数量や価格を記録しなければならないことに少し圧倒されていた。
数日後、父とルカは初めての仕入れ先へ向かい、実際に商品の仕入れを行った。商店にとっては初めての仕入れだったため、父も慎重に数量を決め、ルカはそれを記録していく。
「ここで仕訳が重要になる」と父が話を始めた。
「例えば、商品を30万円で仕入れたとしよう。この場合、『仕入』として借方に30万円を記入し、支払いには『現金』か『買掛金』を貸方に記入する」
父が教える通り、ルカは帳簿に仕訳を記入していった。
「仕入 30万円 借方、現金 30万円 貸方…」と声に出しながら、初めての仕訳を体験する。
「こうすることで、どれだけの商品を仕入れて、いくらの支出があったかが分かる。これが仕訳の役割だ。資金の流れを把握しておかないと、商売はすぐに行き詰まってしまうからな」
ルカは帳簿の中に記入された数字が、実際の商品の流れやお金の動きとリンクしていることを感じ、簿記の重要性を実感した。
次に父は「商品有高帳」の記入について説明した。
「ルカ、仕入れた商品の在庫を管理するためには、商品有高帳が必要なんだ。ここには、仕入れた商品の数量や金額を記録し、売れた商品の数も更新していくことで、今どれだけの在庫があるかを把握できるんだ」
ルカは商品有高帳に初めて記入しながら、在庫の数量が実際の商売にどれほど影響を与えるかを学んでいく。仕入れた商品の数量や売れた商品の数を正確に記録することで、無駄な仕入れを防ぎ、効率的な在庫管理が可能になることに気づいた。
こうして店舗の準備と初めての仕入れが無事に完了し、商品が並んだ店舗を眺めるルカと父は達成感に包まれていた。初めての仕訳と商品有高帳の記入を通じて、商店経営に必要な基礎的な簿記の知識を実感したルカは、少しずつ自信を深めていく。
「これからも多くのことを学んでいくが、焦らず少しずつ進んでいこうな」と父が笑顔で言った。
ルカも笑顔でうなずき、父と共に商店の準備を進めていく決意を新たにするのだった。
店舗経営では、仕入れや在庫管理をしっかりと行うことがとても大切です。仕入れ額や在庫状況を正確に記録しておくことで、無駄な仕入れを防ぎ、資金の流れを把握しやすくなります。今回登場した「仕訳」や「商品有高帳」は、会計における基礎ですが、実務でも役立つ基本中の基本です。これらをしっかり学んでおくと、商売や家計管理にも応用できるので、ぜひ覚えてみてください。