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村の会合

村の会合を前に、着替えを済ませたものの、やっぱり体に染み付いた死臭は拭えない。俺と親父は、集まりのいちばん片隅に座ることにした。


幼馴染のアンナが、手を振ってこっちにやってくる。アンナはこの村のお医者様の娘で、父親につきそって看護師をしている。昔からなんとなく一緒にいると居心地が良くて、小さい頃は一緒に大人がだめだと言って鍵をかけているような場所も探検したものだ。


「おじさん、こんにちは。ヒース、今日もヴァンパイアのハントをしたの?」


ヒースっていうのが、俺の名前だ。

「最近、数が増え続けているよ。毎日数体は駆除しているんだけど、このままでは、全ての墓を開けないといけなくなるかもしれない。そうなったら」


「お母さんの墓も、、、」


アンナは目を伏せて呟いた。アンナの母親は、数年前に流行り病で亡くなっている。墓をあけるということは、その親族にとっては辛いものだろう。


そのとき、村長が話をはじめた。

内容は、最近ヴァンパイアの数が増えて、このままでは駆除できなくなると親父からに相談を受けたことだ。


「いっそ、遺体は焼いてから墓をつくるしかあるまい」


親父は言ったが、村人たちは聞き入れない。


「宗教的な理由から、それはできない」

「ヴァンパイアになってしまったなら仕方ないが」


平行線なので、村長は話を変えた。

「ところで、村はずれの古城に鍵をかけた者はいないか?扉がまったく開かなくなっているという話が来ているのだが」


古城か、懐かしい。俺とアンナは小さい頃、その古城で迷子になって、一晩帰れずにすごしたことがあったっけ。入ったらだめだと言われていると、つい入りたくなるのって人間なら当たり前だよな。


「古い城ですし、門が壊れたというわけでは?」

「押しても引いてもびくともしないのだ」

「まぁ、今はもう使われていない城だ」


話はヴァンパイアのことに戻る。

「実は、村で亡くなったコゼットさんを見かけたという人がいてな。夜中に歩いているのを遠くから見かけたと」


コゼットさんは、先週なくなった女性だ。


「親父、コゼットさんの退治した?」

「いや、わしは、お前がやったものだとてっきり」


まずいことになってきた。親父が村長に言う。

「我々はコゼットさんの墓を暴いて退治をしておりません。墓はすでに空です」


周囲がざわついた。ヴァンパイアがひとり、逃亡に成功したらしい。

ヴァンパイアは血への渇望といって、生きている人間の血を求めて襲ってくる。今、夜に外を歩くのは危険だ。どうにか昼間に隠れているコゼットさんを見つけ出して、きちんと殺さなくては。


「明日、村人総出で、亡くなったコゼットさんを捜索することとする」


そこで、人々は夕暮れの鐘の音を聞いた。人々は解散していく。俺達もゆっくりはしていれない。

「アンナ、じゃぁな!」

「またね、ヒース!」


今日はもう夜になる。明日に備えて早めに寝よう。

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