表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】もう結構ですわ!  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/80

38.待ち望んだ一通 ***SIDEル・リボー伯爵

 長い月日を耐えた。暴発しそうな民を宥め、私財を投じて公共工事を行う。堕落した一部の貴族は、砂の王に追従して甘い汁を楽しみ始めた。


 本家が隣大陸にいることで、自分達の気が大きくなったのだろう。愚かなことだ。本当の王はあちらにいて、本家の監視も緩んでいないというのに。目はなく手が届かない? あの方達が、そんなに甘いはずあるまい。


 考えなくてもわかることを忘れた獣を、我々は軽蔑の眼差しで記憶した。どんな振る舞いをして、何を蔑ろにしたか。ルフォルの国民は阿呆ではない。きちんと貴族の見極めをするだけの知識と教養がある。その基礎を築いたのは、数世代前の先祖だった。


 読み書き、計算、歴史の知識、地図の読み方、気象の予測に至るまで。災害が起きた際の対応は、地元の民の方が優秀だ。予防措置を公共工事で行う貴族に、あれこれと確認して指摘するほど。


 様々な知識を幼い頃から蓄える一族の王に、愚か者を据えて我慢する理由は……真の王が帰るまでの代理だから。それでも腹に据えかねる行いが続き、民は限界が近かった。


「伯爵様、もう無理ですよ」


「そうです。これ以上のさばらせたら国が崩壊してしまいます」


 領地を管理する彼らの訴えに、ル・リボー伯爵として判断を下さなくてはならない。


「ル・ノートル本家に問い合わせる」


 覚悟を決めて、そう口にしたのを待っていたように、連絡の魔法道具が飛び込む。渡り鳥の形をした魔法道具は、運んだ手紙を机に残して去った。屋敷の屋根裏にある指定場所に戻るのだろう。何らかのエネルギーを充填するらしく、いつもの動きだった。


 見送って、大急ぎで手紙の封蝋を確認する。ル・ノートル伯爵閣下から一通、ル・フォール家の封蝋が付いた手紙が一通。最後に、赤いラインの入った手紙が一通だった。開く順番は決まっている。


 緊急と重要さを示す赤いラインの手紙を手に取った。開いて、その中身を仲間の前に提示する。読み聞かせる必要はなかった。領地管理をする彼らは、読み書きに不自由しないのだから。無言で読み、もう一度頭から読み直し、ほっとした様子で頬を緩めた。


「ようやく……」


「長かったですね」


 彼らの安堵の声に、掠れた声で相槌を打った。


「長かったな。動くぞ」


 準備を進めろと口にする必要はない。にやりと笑った二人は、大急ぎで領地へ戻った。主要な貴族家に赤いラインが届いている。私から知らせる必要はなかった。


「レイラ、手伝ってくれ」


「はい……っ、赤ラインですか? すぐに準備いたします」


 駆け込んだ妻は満面の笑みで出ていく。淑女らしくない所作で、スカートをつまんで走った。肩をすくめ、私は残りの手紙を開いた。まずはル・フォール大公閣下の手紙を……それから本家筋に当たるル・ノートル伯爵閣下の文面を。


 さあ、この国の夜明けだ。暗く寒い夜が明ける報せに、民と手を取り合って華を添えるとしようか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ふっ!!伯爵よ、安堵するのは早いわ!!真の王は……猫作者さん!!そして小人は……魔力暴走させてお城を更地にします!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ