七
「魔物と会敵した時の取り決めするぞ。ジェーノ、貴様は立っていろ。直立不動だ。大地に根を下ろす木になれ」
もうバチクソに戦力外扱いしてる。頭にギャグ漫画みたいなたんこぶ三つ作ったジェーノは大きく深く頷く。余程オルガのお灸と変形顔が堪えたらしい
まあ気持ちは大いに分かる。オルガ怒ると口結構開いて喋るから口の牙が見えるし、それでぐいぐい迫ってくるから尚更顔の迫力が増すんだよな
今は怒りが収まったようで顔は元に戻ってるけど…怒らなけりゃ可愛いと綺麗が両立した顔なのに……勿体な
「………だから……お前はっ!考えてる事がっ!まるわかりなんだっ!」
ジェーノと同じようにたんこぶ三つを生成してしまった。今後オルガに対して思った事はなるべく顔に出さないようにしよう(無理だと思うけど)
また苛々し始めたオルガを何とか宥めて先へ進もうとした最中ーーーー…
「オルガ!危ないっ!」
「ッ!?」
死角から魔物がオルガに奇襲を掛ける。普段なら絶対に遅れを取る事の無いオルガだったが、俺達が苛つかせてしまった所為で注意力が散漫になっていたのか、オルガはその奇襲に対して対処を遅らせてしまった
唯がその攻撃を捌こうと動くが…間に合いそうにない。俺は唯よりも遅く始動している。反応速度が全然違う
一撃を受けてしまうと誰もが思った
しかしーーーー……その魔物はオルガに一撃与える事は無かった
オルガの目の前で丸焦げになり、一瞬で消滅してしまった。何が起こったんだ…!?
炎の出所を皆で見る………そこにはジェーノがいる。他には誰もいない
ジェーノは呆けたように自分の手を見つめている。今起きた事が信じられないといったように
「おい!今のは貴様がやったのか!?」
勢いよくジェーノへ詰め寄りオルガが質問…というか尋問する
今のは魔法…だよな?それもかなりの威力の…
「え…ええと、多分…?オルガの近くに魔物が隠れてるのが見えて叫んだけど間に合わなくて、どうにかしなくちゃって思ったら…身体が勝手に…」
「……確かにエルフは魔法を得意としているが…詠唱も無しにあれだけの威力の炎魔法を使うなど……」
確かに今のは詠唱なんかする余裕無かった筈だ。ウッドランドのおっちゃんが言ってたな、経験を積んだ人なら詠唱無しでも魔法使えるって…
…て事は、ジェーノは記憶無くす前は結構な手練れだったりするのか?
「……今のは助かった。礼を言う」
「う、うん。どういたしまして…?」
「今の魔法、もう一度使えるかい?」
「え?えっと…確か……こう……」
唯の問い掛けに対し先の動きを再現しようとジェーノは前に手を翳す
…しかし何も起こらず。さっきの炎のような魔法は発動しなかった




