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ソマールを目指して歩き続ける俺達一行。普通に歩いて行くと四〜五日ほど掛かるそうなのでそれに間に合うだけの食糧を包んでもらい、それを袋に入れて担ぎながら歩いている(俺が)
こういった時食糧とか代えの服とか防具とかを収納出来る何かがあれば凄く楽なんだろうな…片手大剣、片手袋担いでる所為で両手塞がって不便極まりない
「っと!」
不意を突いて奇襲を仕掛けて来た魔物の一撃を躱し、反撃の一振りをお見舞いする。よし、上手く対処出来た…こういった闘いを常に出来るようにしないとな
…あれ、何で二人して呆けてんの?
「…見たか?」
「…ああ、かなり無駄が少なかったね今の動き」
「……いやいや。たまたまだろうきっと」
「たまたまですけど!たまには褒めても良くね!?」
「褒めたら増長するだろうお前」
ぐっ…!!否定出来ない…!!つーか褒めて増長すんのはお前もだろがオルガ!
そこそこには褒めてくれよ…自分より強い人に褒められるのってお世辞でも嬉しいんだって…
「……ん…?」
肩を落としながら大剣と袋を担ぎ直して前を向くと………何だあれ…道から外れた所に何かある。いや、居る…?
最初はそれが何なのか分からなかったけど、歩いて近付いて行くうちにそれが人である事が分かった
人が倒れている!魔物に遣られてしまったのか!?
袋を投げ出して駆け寄り状態を確認すると、どうやら魔物に遣られているようではないが意識を失っているみたいだ
ぼろぼろになった黒灰色のフードコートを身に付けていて、フードで頭を隠している。肩を揺らして何度か声を掛けてみるとその人は僅かに顔を歪めながら薄らと目を開かせた
「……あれ…?僕…生きてる…?」
「大丈夫?」
「……君は…?」
「あ、俺は暁…いや、俺の名前なんかより君の容態が心配なんだけど」
「…多分大丈夫。何日も飲まず食わずで歩き続けてて……空腹と疲労で倒れちゃったんだと思う」
「いやそれ大丈夫じゃないって」
側にいる二人に食糧を分けてあげようと話し、近くで休めそうな場所を探して休息を取る事にした
おずおずと食糧と水を受け取り、その人は食べ進める。最初の一口は小さなものだったが、それからは空腹に耐えかねてかかなりの勢いであっという間に完食してしまった
大きく息を吐き立ち上がると、その人は深く頭を下げる
「本当にありがとう。助かりました」
「気にしないで。困った時はお互い様だから」
「貴様が食った分は零也の分から差し引くから気にするな。零也は飯抜きだ」
「嘘でしょ!!?」
「気にするな。困った時はお互い様だ」
「お互い様なら助け合おうよそこは!!」
「私達は困ってないからお前だけ気にしていろ」
「言い方変えれば良いってもんじゃないからね!!?」
俺とオルガの漫才のようなやり取りを聴いて、くすくすと笑っている。フードから覗く顔は……嫉妬するくらい整っている。美少年…美青年か
中性的な顔立ちをしていて、濁りの無い澄んだ綺麗な碧色の瞳…とても柔らかな目をしている
薄緑色の髪は…フードを被っている所為で長さまでは伺えないが、かなりの長さをしている事は何となく分かる。そして褐色の肌にオルガのように尖った耳…この人が人間では無い事も何となく分かる
「そういえば名前聴きそびれてた。名前教えてもらっても良い?」
「……ジェーノ・カタ…ロフ…だと思う」
………思う?自分の名前が思うって…どういう事だ?
「……ごめん。分からないんだ。僕殆ど記憶が無くて…自分の名前もこれで合っているか分からないんだ…」




