十二
それから朝食を食べ終え、少ししてから城へと向かった。城の中に入って玉座の間へ歩いていくと、ルーギアスさんとダイオン王が見えた
俺達を視認すると、二人もこちらへと歩いて来る
「おはようございますルーギアスさん、ダイオン王」
「ああ、おはよう。大事無いようで安心したよ」
「そちらも同じく大事無いようだな」
「うむ。ゴブリン達がまた襲って来るのではと危惧していたのだが、どうやら奴等は本当にカーズに操られ街に襲撃を繰り返していたようだ」
ゴブリンによる連日の街への襲撃はやっぱりカーズの所為だったのか…。スキルの試しって言っていたから、スキルの力でゴブリンを操っていたんだろう
…操るという事が何処までの精度なのかは分からないけど、カーズは街の構造を知っている人物の筈だ。ゴブリンの街の襲撃の配置が完璧過ぎる
「…ルーギアスさん、昨日の…カーズの事を聴きたいんですが」
「……奴は私と共にダイオン様から剣を教わったこの街の住人…兵士だった」
やっぱり…か。
ルーギアスさんは視線を落としながら歯噛みする。そんなルーギアスさんの肩を優しく叩き、ダイオン王が続ける
「君達もカーズの剣の腕前と身体の熟しを見ただろう。奴はルーギアスに引けを取らぬ強さを持っていた…。ルーギアスと違ったのは、その強さの使い方だ」
「兵士としてあるまじき行為…暴行、恐喝、果てには未遂の殺人まで犯すようになった。事態を重く見たダイオン様がカーズの除隊と街からの追放を命じ……カーズは街を去った」
その話を聴くだけだとカーズはどうしようもない悪党だって事しか伝わらないけど、ルーギアスさんやダイオン王の表情は曇ったままでいる
…多分、伝えないでいた方が俺達にとって良い事なんだろう。余計な情を掛けさせない為にわざと話していないんだと思う
「……カーズの事は大体分かった。それで、お前達はこれからどうするのだ。ここまで街や城を壊され、多くの兵も民も喪ってしまっただろう」
「それについては復興の支援を近国に頼もうと思っている。問題はその連絡をどうするかなのだが…」
あー…この世界には携帯とかの連絡機器無いんだもんな……転移魔法が使えれば直ぐに連絡を入れられるんだろうけど…
近国って言ってもどのくらいの距離かさっぱり分からないし……少なくともゴブリンの棲家に行くまでにそういった所は影すら見えなかったから、もっと遠くにあるのは明白だろう。全然近国じゃない
そんくらい遠くにあるんなら魔物に襲われる可能性も充分にあるし、襲われても迎撃出来る人に頼まなければいけない。
ルーギアスさんにならきっと任せられるだろうが、今の街の状況を考えるとルーギアスさんとダイオン王どちらかでも街を離れられては有事の際に取り返しが付かない事態になりかねない
となると……この方法が一番だろう。
「それ、俺達が行きましょうか?」
「…なんと、任されてくれるのか?いや、しかし君達にこれ以上迷惑を掛ける訳には…」
「乗り掛かった船だ。このまま捨て置く事は私達としても気が引ける」
「オルガもそれでいい?」
「ここで首を振ったら私が悪者になるだろうが。好きにしろ」
言葉ではこんな事を言っているが、オルガも本心は賛成なんだろう
オルガって何だかんだで優しいんだよな。優しいというか、困っている人や助けを求める人を見捨てられないというか……昨日だって身を呈して街の人を庇ったりしてたし
「じゃあ決まりだな」
「…重ね重ね、本当に感謝する。君達には感謝してもし足りないくらい世話になっているな」
…次の目的地は近国の〝ソマール〟と呼ばれる街?城?に決まった。ダイオン王がそこの長と旧知の仲らしいので、きっと力を貸してくれるとの事。
王印が記されたダイオン王直筆の書状を受け取り、街の人達から沢山の応援を貰いながら俺達は街を出た




