十一
それから程無くしてオルガが目を醒まし、俺達は城へ向かう準備をする事にした。朝食は昨日宿屋の店主から厨房と食材を自由に使っていいと了承を得ていたので、これから作らなければいけない
…簡単なものなら作れるけど、この世界の厨房ってか料理って俺の世界の料理の仕方と一緒でいいんだよな?
「オルガ、料理出来る?」
「私が厨房に立つ姿を想像出来るのか?」
「ごめん聴いた俺が馬鹿だった」
「…即答されるとそれはそれで腹が立つな。いいだろう、私が作ってやる」
俺の返答が気に食わなかったらしく、オルガはくるくる肩を回しながら厨房へと向かっていった。それ完全に闘う前の肩慣らしじゃんか。お前闘いに行くのかよ
それを見た唯が苦笑しながらオルガに続いて厨房へと入っていった。あれ、俺もしかしなくてもオルガか唯の手料理食べられるんです???完全に作ってもらう側の立ち位置になっちゃったんですけど
「それは…で……そうそう」
「……は……で…のか?」
「そう……から……だ」
「……面倒だな」
厨房から二人の会話が聴こえて来る。食卓から少し離れているのと扉が閉まっているから何を話しているのかは聴き取れなかったけど、最後にオルガが面倒だと言ったのだけは聴き取れた
暫く待っていると、何だか美味しそうな香ばしい匂いが漂って来る。ヤバい、すごく期待してしまう
それから厨房の扉が開かれ、二人が戻って来た。オルガは朝食が乗せられた皿を盆に乗せて両手に持ち、俺の前に置く
…見た目は俺の世界のものと何ら変わっているように見えない。名称が分からないから俺の世界で例えると目玉焼き、キャベツの千切り、それから焼き魚。味噌汁、ご飯……定番朝食異世界バージョンって感じだ
宿屋で出されたご飯は二度食べたけど、何だろう……何か凄く食べるのが惜しい…
「城に行かなければいけないから簡単なものしか教えられなかったが、これで満足出来るかな?」
「いやマジで最高っす。有難いっすありがとう二人とも」
「早く食え。そして感想を述べろ」
「意外とオルガの手際が良かったんだ。しっかり教えたら伸びるかもしれないな」
「おい、意外とは何だ意外ととは」
そう言いながらもオルガはどことなくそわついている気がする。初めて作った料理を俺に振舞ってくれたってだけで感激してしまう
オルガに早く食えとまた急かされたので、箸を持ち食べ進める
はい、美味しい。
「…どうだ」
「美味い。マジで」
「そっ……う、か。ふっ…!私が本気を出せばこんなものだ!」
鼻高々にオルガは胸を張りながら手を腰に当てて誇らしげに威張って見せる。完全に調子に乗ってしまっているけど、昨日の事もあるしこのまま元気出して貰おう
「唯!礼を言うぞ!」
ばんばんと唯の背中を叩きながらオルガは笑っている。それに唯は苦笑いで答えている…が、絶対痛いの我慢してる。食らってるから言うけどそれ結構痛いからなオルガ
「さ、さあ私達も食べようオルガ」
「おっと、そうだな」
ハッとしたようにオルガはまた厨房に戻り、二人分の朝食を持ち運んで来る。その顔は何処となく満足げに見えた




