九
ウッドランドを出て彼女と隣り合わせで歩いて行く事数分、会話は未だ一つもない。彼女は淡々と道を歩いていて、俺もその隣を淡々と歩いてるだけ
つーかヤバくね?俺この周囲の魔物に追い回されるくらいの雑魚なのにそれよりも強い魔物達がいる所に行こうとしてるとか死亡フラグを高層ビル並みに建築しちゃってんだけど
「そういえば」
ぽつりと一言、彼女が口を開いた。そういえば…何?何か忘れ物でもしたの?
「君の名前を教えて貰っていなかったね」
「あ」
ほんとそういえばだ。俺も名前を教えてないし、彼女の名前も教えて貰ってない。村でいくらか会話したものの、名前を名乗る程の会話じゃなかったし、ましてやこんな風になるなんて思ってなかったからな…
「えっと、俺は暁 零也って言います」
「暁君か。私は東雲 唯だ。紹介が遅れてすまなかったね暁君」
「あ、いや、それは俺も同じですから。よろしくお願いします東雲さん」
東雲 唯…異世界に出てくる人の名前って横文字ばっかりのイメージだったけど、バリッバリの和文字だった。今思えば日本語で会話が成立してるし、もしかして俺が飛ばされたこの世界って色んな世界がごちゃ混ぜになった世界なのかな?
和文字だったり、ウッドランドとかクロコ洞窟とか横文字入ったりもするし。そこは突っ込んじゃ駄目な所か。異世界だけじゃなくてどんな漫画とかアニメとかゲームに対しても
「見た所暁君は武器を何も持っていないようだけれど、素手で闘うのかい?」
「いやぁ…あはは」
実は俺この世界の人間じゃないんですよね~って言ったら信じてくれるかな?信じないよな…俺が東雲さんの立場だったら信じないもん
「…話は後回しだね」
「あっ!!昨日のスラ公!!!!」
俺達の行く手を遮るように昨日俺の事を追い回した憎きスライムが現れた。しかもご丁寧に三体も仲間も引き連れて
はっはっは!!残念だったなスライム共!!昨日の俺とは違うんだよ!今の俺には東雲 唯さんという心強い味方が付いているのだから!!!(他力本願)