十
…窓から差し込む日差しに顔を歪めながら目を開ける。ゆっくりと身体を起こしてぼうっと数秒無駄に時を浪費……まだ上手く頭が覚醒してない所為か何も考えられない…
ちらりと隣に視線を移すと、顔を隠して寝ていた筈のオルガは横向きになって布団をはだけさせている。はだけた毛布を掛け直し時計に目をやるとまだ早朝ーーー…もう少し寝させてあげよう
…ん…?
零也の姿が無い。寝具が空になっている
何処かに行っているのか…?いや、何処に?こんな早朝に一人で城に行く訳もないだろうし…
何気無しに窓から街の様子を伺うと、零也がいた。宿屋の直ぐ側にある広場で父の大剣を振っている
大剣を構え、振る。また構え直し、振る。ひたすらにそれを繰り返していた。一体いつからやっていたのか、汗を拭うような仕草も時折している
それから暫く零也の素振りを眺めていた。怪力のスキル頼みで力任せに振るのでは無く、一回一回丁寧に熟している
やがて零也は素振りを終え、こちらへと向かって来た。私には気付いていない様子で汗のついた髪を掻き上げながら宿屋へ入って来る
汗を流しているのだろう。そのまま風呂場へ行き…暫くすると髪をタオルで乱雑に拭きながら部屋へと戻って来た
部屋に入って来るや私と目が合うと零也は少し驚いた様子で僅かに目を見開いた
「あれ?もう起きてたの?」
「…ああ、今しがた目が醒めた所だよ。風呂に入っていたのかい?」
「うん。寝汗めっちゃかいてたから気持ち悪くてさ」
「……そうか」
……素振りをしていたとは言わないんだな。いつからやっているか分からないくらいに汗をかいて、あんな真剣にやっていたのに。
………………。
「……………………いやいや。単純過ぎるぞ私」
「何が?」
「いや別に?零也は格好悪いなぁと」
「何で急に悪口言うの!!?」




