九
ひとしきり泣いた後オルガは真っ赤に腫れぼったくなった目で俺達を見て「寝る」と一言だけ伝えると布団を顔まで上げてそれ以上話す事は無かった
程なくして、オルガから規則正しい寝息が聴こえて来る。あっという間に寝てしまった……疲れてたんだろうな
そりゃそうだ。あれだけ走って、ぼろぼろになるまで闘って、ぼろぼろ泣いて………今は少しでも休ませてあげよう
「…俺達も寝よっか」
「そうだね、明日また城を尋ねてみよう。私はその場に居なかったから分からないが、イザベラと共に消えた男の素性も気になる」
カーズの事か…多分だけどカーズとルーギアスさんは顔見知りなんだと思う。二人の対話の端々でお互いの事を知っているような口振りで話していた
自分の知っている人が敵になったら…きっと辛いんだろうな……相手が自分の命を狙ってくる。俺で言うなら唯やオルガと闘わなきゃいけないなんて……そんなのは嫌だ
「…それにしても、君は人を泣かせるのが上手いね」
「え゛!?」
唯が不意にぽつりととんでもない事を言い始める。思ってもない一言に喉から変な声を発してしまった
素っ頓狂な声を出した俺を見ながら唯は柔らかく笑っている
「私も君に泣かされてしまったしね」
「いや、あれは…」
「ふふっ。褒めているんだよ?どうしようもなくぐちゃぐちゃになってしまった心を救うのが上手いと言うのかな……その時に一番掛けて欲しい言葉を掛けてくれる」
……物凄く恥ずかしくなってきた。唯は思った事をそのまま口にしてくれてるんだろうけど、何だかむず痒い
「オルガもきっと君の言葉に救われたと思うよ。それくらい、君の掛ける言葉は心に響くんだ」
「…褒められてるって素直に受け取っとく。ありがと」
「うん。さあ寝ようか…多分私もオルガのようにすぐに寝られそうだ」
「…俺も。おやすみ唯、オルガ」
「ああ、おやすみ」
最後にそう言葉を交わして明かりを消した。
救われた…か。




