七
大剣を地面に突き刺して立ち塞がる木の前に立つ。思い切り拳を引きながら、その手にありったけの力を込めながら殴り付けた
轟音。
俺の拳の当たった先から出たとは思えない凄い音がして、バキバキと木が壊れていく。だけどそれでも壊し切れていない。怪力のスキルでも破壊し切れなかった
それなら何度でもやればいい。オルガがやっていたように何度も何度も打ちつけてやればいいんだ
轟音。轟音。轟音。
拳を打ち付ける度に次々と木は壊れ、少しずつだけど道が開いてきた
両手の甲の皮膚が裂けて血が出て来る。痛いな…こんなに何かを殴った事なんて一回も無い
それでも、やらなきゃなんないんだよ。
ここで手が痛いから止めます、なんて馬鹿みたいな事言える訳無い。
そんなんじゃあの大群の中一人留まって俺達を行かせてくれた唯に合わせる顔が無い
ダイオン城に戻って、なんならそこでゴブリン達と決着付けてやる!!!
「……いけ、た…」
額から汗が、拳から血が滴り落ちた。その俺の目の前は道が広がっている
行けた。開けた。あれだけの数重なってた木を壊して道を開く事が出来た。これでダイオン城に行ける…!
「君は……一体何者なんだ…?」
「………ふん。良くやった零也。お手柄だぞ」
ルーギアスさんはこの光景を呆然とした様子で、オルガは少し面白くないように仏頂面になりながら片手で大剣を差し出して来た
…持てるのかよそれ。片手で
「貴様のこの武器、初めて持ったがかなり重いな。よく振り回せるものだ」
…褒めてるんだろうか。いや、多分素直に思った事を言ってるだけだろうな
まだ血が止まらずに伝っているオルガの手から大剣を受け取り、溜め息のように大きく息を吐いた
「随分と酷い手の有様だな」
「お互い様だろ」
「…ふっ。お互い後で唯にでも治療してもらーーーー……おい、唯は何処にいる?」
「…俺達を先に行かせる為に一人で闘ってる。行こう、こんな所で止まってらんねぇんだった」
「…そうだな。奴等には虚仮に虚仮を重ねられた。全ての鬱憤を込めて殲滅してやる」
汗で額についた前髪を掻き上げオルガは先を見据える。拳の血が幾らか顔に付いてしまってかなりバイオレンス顔になっている。それに加えて顔も変形してしまっているもんだからもうただの化け物みたいに
「何を考えているかすぐに分かるぞ貴様」
「こんな事してる場合じゃない!早く行こう!待って!殴ろうとしないで!」




