五
「行くぞ!彼女の行為を無駄にはしない!!」
ルーギアスさんの一声に俺はぐっと拳を握り締めながら唇を噛み、唯を見る。
そんな俺に唯は小さく笑い掛けた
「万事上手く行ったらオルガの愚痴を聴いてあげよう。きっと出し抜かれて御立腹だろうしね」
「…ああ!!だから!!」
「ああ。だから」
その先の言葉は言わなかった。言わずとも分かっている
零也の前の憚ろうとするゴブリンを斬り捨てる。走りを止めないように
ルーギアスの横から攻撃を掛けるゴブリンの攻撃を剣で薙ぎ、斬り捨てる。走りを止めないように
二人の先にゴブリンがいなくなると足を止め、襲い掛かってくるゴブリン達と対峙する。二人の走りを止めない為に
棍棒を振るうゴブリンの攻撃を躱し、斬る。追撃する二体目のゴブリンの腹部を深く斬り付ける
二体を消滅させ、ゴブリン達を鋭く睨み付けるとゴブリン達は僅かに怯えた様に一歩後ずさった。
「さあ、相手にとって不足はないぞ。お前達」
この先は一体たりとも通しはしない。二人の追従も、街への襲撃もこれ以上させない
これ程の数相手は初めてか…?クロコ洞窟で囲まれた時ですらここまで数は多くは無かったな
どうしてか零也と出会ってから随分と命を懸ける場面に遭う事が増えた気がするな…。
だが……笑う事も増えた。父を捜して一人で旅を続けていた時は笑う事なんて一度も無かった
零也とオルガと…まだ共に居た時間は少ないが、私は二人と共にいる時間が好きなのだと思う
こんな所でその時間を終わらせる気は無い。
「行くぞ」
剣を構え直し、強く踏み込んだ
夜は三人でそれぞれ今日の事を話そう。零也の推理の事やオルガの洞窟での活躍、今の私がどのように立ち回ったのか。
誰一人として欠けずに、昨日の夜の様に。




