一
「この…!返せっ!!」
奪われた松明を取り返そうとゴブリンを捕まえようとしたが、躱されてしまった。ゴブリン達は松明を地面に乱暴に叩き付け、無理矢理松明を消火させる
松明が消火した事で、俺達の視界はほぼ塞がれてしまった。さっきの爆音で耳も麻痺している…鼻もこの臭いで馬鹿になってる…
なんだこれ…!?五感どんどん潰されてるじゃねぇか…!!ゴブリンってこんな理知的な闘い方すんのかよ!?
「皆!大丈夫か!?」
思い切り叫んでみたが、返答は無い。いや、分からない。耳が機能してくれてない
くそっ!これじゃ状況が何も分かんねぇ!!ゴブリン達は俺達の動きを把握出来てんのか!?
「ぐぁっ!!!?」
そう思ったと同時に顔面に強い衝撃を受けた。殴られた…のか!?
思ってもない攻撃に態勢を崩し、地面に背中を打ってしまった
間違い無い…ゴブリン達はこの暗闇でも俺達の事が見えている。じゃなきゃこんな的確に攻撃出来る訳がない
まずい!!追撃が来る…!?
でも何処から?何処を狙ってるんだ?頭か?身体か?前から?後ろから?
…分からない。何も分からない
昨日闘ったゴブリンは武器を持ってた。刺されるかもしれない。無防備な顔面を鈍器でぶん殴られるかもしれない
…呼吸が荒くなっていく。汗が吹き出てくる。涙が溢れそうだ
………怖い。なんだよこれ。なんなんだよ!!!
何も出来ずに攻撃されるのを待つくらいなら大剣振り回して運良く当たれば…!!
…駄目だ。そんな事をしたら近くにいた三人を斬ってしまうかもしれない。多分みんなそれを分かっているから何も手が出せないんだ
「うわっ!?」
次に俺を襲った衝撃は最初の鈍痛に比べると小さなものだった。胸の防具辺りに何かが当たった
当たったというか…倒れた?何かが倒れ込んできたような感覚だった
まさか…!?三人の誰かなのか!?
…いや、それにしてはあまりにも衝撃が小さい。何だ今のは…?
…そういえばゴブリンの追撃が来ない。最初殴られただけで…あっちからすれば絶好の好機の筈なのに…
とんとんと、二度肩を叩かれた。
思わず振り返る
「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
振り返った瞬間、火の種によってぼうっと燃えた松明とギラついた歯を見せながら意地悪く笑うオルガの顔(変形)が俺の目の前にあった




