六
魔物斃すったってなぁ…殴ったり蹴っ飛ばしたりして斃すんでしょ?何か動物虐待してるみたいで気が進まないよなぁ…
RPGやってる時はそんなの全く気にしないで斃してたけど、いざそれを実際にやるとなると……やっぱ気は進まないよな
でもやらなきゃ身体を休める場所を確保出来ない訳で…気は進まないけど、やるしかないか…
村を出てうろうろしてると何か液状のぷるるんとした物体を見つけた。
あーこれも定番だよね、スライム。序盤の定番的な。RPGって最初の方はこんな感じに可愛らしいフォルムの敵なんだけど物語が進むにつれてどんどん敵のフォルムが厳つくゴツく凶悪になっていくよな
…俺あんなん斃せる気微塵もしないんだけど。だってあれでしょ?ドラゴンとか出てくんでしょこの感じだと。
あ、無理無理。どうすれば元の世界に戻れるのか知らないけどそういうスケールの大きい魔物には関わらないで行こう。
なんて考えてたらスライムの方が俺に気付いたらしく、ぷるんぷるんと身を弾ませながら此方に向かってきた。
あ、なにこれ可愛い。凄い可愛いんだけど!癒される〜〜〜!荒んだ今の心が洗われ…
「あれ」
と思ったのも束の間、スライムはメキメキ変形。何処に隠してたのか、めっちゃ鋭い牙をギラつかせて飛び掛かってきた
「あるぇ!?全然可愛くねぇ!?何このエイリアン!!!?」
「ギシャアアァァァァ!!!!」
「あああぁぁぁぁぁ無理無理無理無理!!!斃せないこれ無理!!!死ぬ!!!!!」
「ギャシッ!!!」
「危なっ!?何すんだテメー腕喰い千切るつもりかよコンニャロー!!!死ねっ!!!!」
間一髪で腕に噛み付こうとしたスライムの攻撃を躱して逃げる。反撃はしといた。言葉で
いや無理っすもん攻撃とか。もし殴るか蹴るかしてそこに噛み付かれたら千切られますもんあの牙に
スリーアイドッグよろしく、今度はスライムに追い回されました。