十八
「……これが魔族と人間との間に起こった出来事だ。史実通りならばだけれど…これで合っているかなオルガ」
「ああ、概ねその通りだ」
唯から聴いた話はこうだ。今から三百年程前に魔族と人間との間で大規模な争いが起こった。理由は今となっては分からないらしいが、その争いは他種族をも巻き込みかねない程大きなものだったらしい
争いは絶える事なく続き、このままでは両者共に絶滅しかねない事態にまで発展した。そこで両者の王が停戦の協定を結び、争いを終息させたとの事だ
ただ、その争いによって失ったものは大きかった。大切なものを失った者、帰る場所を無くした者、様々だったらしい。両者のそれぞれに対する怨みや憎しみは停戦によって消える事は無かった
その名残か、人間は魔族を、魔族は人間を忌み嫌っている…三百年経った今でも
「だから最初俺等の事拒んでたのか」
「そうだ。魔王の娘が人間と相容れたとなれば、今の関係を壊しかねない。良い方向か悪い方向か…どちらへ転ぶか分からんものを易々と出来るか?」
「でも今こうして一緒にいるって事は…」
「……………今は話せん。私は正直、貴様等の事を心から信用してはいない。貴様等になら裏切られても構わない…私がそう心から言える時が来たなら、話す」
オルガの言い掛けた言葉はこの言葉に繋がっているんだろうか。心から信用か…言葉だけじゃそりゃ信用なんて出来ないもんな
信用と信頼は行動で示せって事だな。いつになるか分かんないけど、話してくれる日を待つ事にしよう
「あれ、でも城下町とかオルガが一緒に入っても大丈夫なのか?」
「多少驚かれたり毛嫌いされたりはするだろうが構わないだろう。私はそれを加味した上でオルガを誘ったんだ」
「ああ、俺もその通りだ」
「貴様はこの世界の事情を知らんから容易に言えたのだろうが。今ので私の貴様への信頼は大分薄らいだ。唯は加点だな」
「oh…」
苦虫を噛み潰したような顔をする俺とそれを見て鼻で笑うオルガ。唯はそんな様子を見て小さく微笑んでいた
「っと……魔物だ零也。どうする?」
「決まってんでしょ。失った信頼は行動で!」
「………………勢いよく飛び出して返り討ちに遭い、こちらへ逃げ帰って来ているあの馬鹿のどこに信頼をすれば良いのだ?」
「………長く温かい目で見ていてくれ」




