七
あれから何時間くらい歩いたんだろう?時間が分からなくなるほど俺達は森の中を彷徨っていた。恐らくは数時間くらいだろうけど、流石にこんだけ森の中を歩くとうんざりしてくる。見れば二人もげんなりとした様子で、疲れているのが見て取れる
流石迷いの森って名前なだけあるな…完璧に遭難しちまってる。魔物も定期的に出てくるし、肉体的にも精神的にもかなり限界が近いんだけど…あれ?これもしかして詰んだ?
「そういえばさ、何でオルガはこの森に入ったの?」
「煩い。貴様には関係無いだろう」
うわー…疲労のせいでピリピリしてるのも相まってオルガの態度が更に悪くなってるー…少しでもこのどんよりとした空気を変えようと思ったんだけど…もっと険悪な雰囲気になっちゃった
「ーーーーーーあ。」
不意に唯が気の抜けた声を上げる。ぷるぷると指を震わせながら指した先には、唯が数時間前に迷わないようにと付けた印があった
俺達この数時間森の中をお散歩して戻って来ただけかよ…。何だそりゃ、ふざけんなよ
落胆やら憤慨やら色々な感情がごちゃ混ぜになって一気に襲って来た。多分二人も一緒だろう
「…………巫山戯るな!!!何なのだこの森は!!!私を虚仮にしているのか!!?」
遂にオルガの怒りが怒髪を突いた。側にあった木を思いっ切り蹴飛ばし、殴る。愚痴と怒号を繰り返しながら
木はやがて鈍く大きな音を立てて地面に倒れた。何これ?夢?オルガも怪力のスキル持ってんの?
俺と唯は目を合わせて今のこの光景に失笑する事しか出来なかった。ヤバくね?女の子があんな大きな木を殴って蹴っ飛ばして叩き折るって
未だ怒りが収まらない様子のオルガに近付いて宥めようとしたのだが…あれ…?
…オルガの目が変わっている
変わっているというか、白目の部分が黒く染まって瞳孔がネコ科の動物のようにスリット型になっている。怒るとこうなるのか…?
「落ち着けよオルガ。無駄に体力消耗するだけだぞ」
「黙れ人間!!!貴様もこの木のように叩き折られたいのか!!?」
声を張り上げながらオルガが捲し立てる。大きく口を開きながら怒鳴ったお陰でオルガの口の中の牙がちらちら見え隠れしている。普段は見えてなかったから多分これも怒ったりすると変形するんだろう
うん。正直ちびりそうだった




