四
さっきのワンちゃん達に見つからないように、そしてその他の俺より強そうな動物に見つからないように警戒しながら慎重に歩いて行くと、道案内の看板を見つけた。二つに分かれた道の丁度真ん中に木製の看板が立ってる
…右に矢印された方には“ウッドランド”、左に矢印された方には“クロコ洞窟”って書いてある。読めないかと思ったけど、普通に日本語で書いてあったから助かった
…とは言ったものの、ウッドランドにクロコ洞窟…?日本にこんな場所ありましたか?無いですよね?
俺国外追放食らったのかな…でも日本語で書いてあるし…どういう事なの本格的にさ。ますます訳が分からなくなってくる
…右に進もう。ウッドランドって事は少なくとも人がいる訳だし、状況を整理する為にも誰かしらと会話して情報を集めないと。
歩いて三十分くらい経ったのかな…森を抜けて道なりに進んでると村が見えてきた。うん、村。市、とか都、じゃない。村。完ッ全に、村。
遠目から見て分かるのは…煙突あるでしょ、馬とか牛っぽい家畜いるでしょ、家が数えるくらいしかないでしょ。
少なくとも俺が知ってるような町の風景は一つたりとも無かった。嘘だろマジかよ
村の入り口まで来ると、一人の中年の人が俺に話し掛けてきた。
「ようこそウッドランドへ!」
「あ、どうも…」
「随分ボロボロだね?魔物に襲われたのかい?」
「…………………………魔物?」
「ああ。さしずめ迷いの森の近辺に住むスリーアイドッグに追い回されたんだろ?最近群れが大きくなってるし、何か対策を取らにゃいかんなぁ…」
そう言いながらおっさんはぶつぶつ独り言を呟き始めた。え、ちょっと待って魔物?何を言っちゃってんのこの人MAMONOてちょっとアンタ冗談も大概にして下さいよホント。
「見た所何の装備もしてないようだし、そんなんじゃすぐに遣られちまうぞ!」
「装備?」
「…あんた大丈夫か?襲われて頭でも打ったんじゃないのか?」
え?俺がおかしいの?確実におかしい事言ってるのはそっちじゃないの?聞いてりゃ魔物だとか装備だとかって…まるで異世界やRPGみたいな事…
「………RPG……?いや……異世界……?」
「あるぺじ?」
…そうだ…そうだよ!!異世界!!!今俺がいるこの世界は異世界なんだ!!そう考えると全部に筋が通る!