十五
旅する、か…。それしかないよな。帰る方法は一つだけ…送還の魔法陣を創る事。そしてそれはこの世界でこの人しか創れない
そして創ってもらうにはこの世界を救わなければいけない…。到底無理な話に聞こえるが、それしか方法がないならやるしかないだろう
「大丈夫だ、お前がしっかりと力を付けるまでは私が奴等を食い止めてやる。この八雲さんがな」
八雲…さん…
親指で自分を指しながら八雲さんはニッと笑みを浮かべている
一人で食い止められるのか…?敵がどれくらいの勢力かは分からないけど、一人で食い止めるなんて…
「お前に無理難題を押し付けているんだ。私だってそのくらいやらねばいかんだろう」
「大丈夫…なんですか?」
「案ずるな。私がどれだけ力を持っているか知らないだろう?私が見せているこの夢から醒めたら一緒に泊まっている女に訊いてみたらいい。私の凄さを」
ああ、やっぱりこれは夢なんだ。八雲さんが見せてる夢……夢にまで介入出来るのか。何か何でもありだなこの人
訊かなくても何となく想像付きそう。この人の凄さ
「さて、一通り話は出来たな。次会う時は実際に会って話をしようじゃないか」
「はい。是非」
「おっと、そういえば名前を聴いていなかったな。私はさっき名乗ったが…名前を教えてくれ、この世界を救う勇者の名を」
「暁 零也です。八雲さん、俺頑張りますから!」
勇者だって、勇者
何かそう言われて悪い気はしないな~。一般ピーポーだった俺が勇者だって!勇者…なんてカッコいい響きなんだ
「…会った時から思っていたが、やはり単純なんだな」
「え?何か言いました?」
「いやいや何も。さて、もう夜が明ける。零也、もう一度言うぞ…この世界を救ってくれ」
そう言って八雲さんは俺に小さく笑い掛け、手を振る。あれ、なんか八雲さんの顔がボヤけてーーーー。
次に俺の目に映ったのは天井。むくりと身体を起こしてすぐ横を見るとすやすやと穏やかな寝息を立てる唯がいた
この世界を救ってくれ…か。俺にやれるか分かりませんけど頑張ります……八雲さん!




