十三
「は…?」
「いや〜すまんな。急を要する事態だったもんで転移させる場所まで選べなくてな。凶悪な魔物が棲む所に転移されてなくて良かった良かったあっはっは」
凄いあっけらかんとしながら喋ってるけど一歩間違えば俺死んでたんじゃん。勝手に人の事を転移させた癖に凄い他人事なんだけど
考えていた事が顔に出ていたのか、その人は俺を見ると不敵に笑う。その笑みが意味するものが何なのかは分からない
「そう怒るな。気持ちは分かるが私の話を聴け」
「………………」
「お前が訊きたい事も今から話す中に含まれている筈だ。さて…先ずは何故お前を転移させたかを話すとするか」
初っ端から俺が1番聞きたかった事が聞けそうだ。何か理由が無ければ違う世界から呼び出すなんて事はしないだろう
「お前を呼び出した理由ーーー……それはこの世界を我が物にしようとする奴等からこの世界を救う為だ」
思っていた以上に遥かにスケールの大きなカミングアウトだった。この世界を救うて。スライムに追い回された俺が世界を救うて無理ゲーにも程がありすぎる
レベル1の勇者が魔王に敵いますか?敵いません。1ターンキルされて終わりに決まってるじゃないですかヤダーーーーー
「全く奴等と来たら…数百の兵隊を集めて召喚の魔法陣を完成させたからな…私一人で急拵えで完成させた所為で召喚させる場所まで確立出来なかったんだ」
…何気に凄い事言ってない?数百人でやっと完成させられる魔法陣をこの人一人で完成させたの?この人とんでもない魔力持ってるんじゃ…
…ん?奴等って…まあこっちでいう敵側って事だよな。敵が召喚の魔法陣を完成させたって事は…
「察しの通りお前以外にも一人、お前の住む世界から呼び出されている。誰かは知らんがな」
「…理由は分かりましたけど、何で俺なんですか?他の人でも良かったんじゃ?」
「闇に抗う者を魔法陣が選んだんだ。それがお前だったという事だ。あちらには世界を破壊する混沌が呼び出されているだろうがな」
…俺の世界にそんな危険な人はいないはずなんだけどな…一体どんな奴が呼び出されてるんだ…




