十二
それからは他愛のない話を二人でした。唯が意外と俺の世界に興味を持ったらしく、色々と俺の世界の事を訊いて来て、俺がそれに答える…といったのが大半だった気がするけど
「君の世界は面白そうだね。地上を走る…車と言ったかな?一度乗ってみたいものだね」
「俺は竜の背中に乗ってみたいな」
「限りなく不可能に近いけれど、可能性はあるよ。ここから遠く離れた地には竜に乗って闘う竜騎士隊が編成されている城もあるからね」
めっちゃ厨二心を擽られるんだけど。竜に乗って戦うとかどれだけの少年の夢と浪漫が詰まっているのやら…
ふと、唯が壁に備えられていた時計に目をやる。つられて俺も時計を見ると、時計の針は二時を過ぎようとしていた。結構な時間喋っていたらしい
「もうこんな時間か…。話が絶えなそうだが、今日はもう寝るとしよう。君も疲れているだろうしね」
「そだね。じゃあ電気消すよ?」
「ああ、ありがとう。それではおやすみ、零也」
「おやすみ、唯」
昨日同様、目を閉じればすぐに眠れそうだ。今日は色々あったしな……こんな経験初めてだ
思った事。RPGはゲームでやるから楽しい。異世界は第三者…全く関係しない所から見てるから楽しい。実際に体験すると想像を絶するくらい怖くて危険。ホラゲとかのがよっぽど怖くないからな?
「…何で森に戻ってるんですかね?」
気が付くと俺は最初にいた森に寝転がっていた。見覚えあるもん、この景色
…夢?唯と会ってから今まで全部?いや、そんな筈無い。トラップから逃げる時とかめっちゃ疲れたし、痛みとか諸々ちゃんと感覚あったし
つまり、今いるこれが夢と考えるのが普通だろう。何だっけ、明晰夢って言うんだっけ?自分がちゃんと夢だって認識出来る夢って
「やあ、この世界は満喫出来てるか?」
ふと、背後から声を掛けられ振り返る。そこには女の人が一人腕組みをしながら立っていた
腰まである長くて綺麗な黒髪を靡かせ、腕を組んだままこっちに歩いてくる
すぐ近くまで来て、顔を認識出来た。少しツリ目がちの切れ長な目をしている…瞳はルビーのように真紅の色をして、俺をじっと見つめている
身長は…女の人にしてはかなり高い。180近くはある。誰だこの人…?
「貴女は…」
「私か?私はお前をこの世界に連れて来た人間だ」




