八
道中、何度か魔物に出くわしはしたもののクロコ洞窟にいた魔物に比べると強さは数段劣っているのがよく分かった。
東雲さんの一撃で魔物は呆気なく遣られるか、実力の差を感じて逃げるかの二択だった
俺?大剣の出番もなく東雲さんが魔物斃しちゃうんだもん。構える事すら出来てません
「どうかしたかい?」
「いや…やっぱ東雲さん滅茶苦茶強いなぁって思って…」
「だから言ったろう?腕に覚えがあるって。慢心している訳ではないけれどね…トロルには私の剣は通じなかったし、もっと鍛えなければいけないね」
これ以上どこを鍛えるんだろ?素人からすると充分過ぎるくらい強いし、鍛えようがない気もするんだけど
俺はもっともっと鍛えないといけないな…いくらスキルを手にしたとはいえ、闘う事に関してはど素人もいい所だ。こんなんじゃ絶対すぐ遣られる
「ようやく見えてきたな…。何だか今日はとても長かった気がするよ」
「俺もです。早く身体休ませたいです」
「付き合わせてしまってすまなかったね。結局君に助けられてばかりだったな」
「そんな事無いですよ……あ、宿屋まだやってるっぽいですね。灯りがついてる」
「ではすぐに宿を取る事にしよう。これからの事は落ち着いてから考えればいい」
自分に言い聞かせているのか俺に言っているのかは分からなかったが、東雲さんは足早に宿屋へと歩いていく
これからどうするか、か…何処か行く当てもなければ帰る当てもないし、どうすればいいんだろ?
RPGとかだとさ、次に行く場所はここだぜ!みたいな感じで示されるけど、そんなのも無さそうだしな…まずゲームじゃないし、現実に起こってるんだもんな…信じらんねー事だけどさ
「暁君?入らないのかい?」
「あ、今入ります」
東雲さんに促され、俺は宿屋の入り口の扉を開いた。宿屋の主人は俺達の顔を見るとにこにこと愛想の良い笑顔を浮かべ、マニュアル通りの接客を始める
東雲さんは宿を取る事に慣れているのか、さっさと手続きを済ませると宿屋の主人から言われた部屋へと歩いて行く
俺も手続きしないとな。えーっと東雲さんがやってたみたいにやればいいんだから…
「暁君の手続きなら私が一緒にやっておいたよ。宿の空きが一つしか無かったらしく、同室になってしまうんだけれど…野宿するよりは何倍もマシだろう?」
この時俺は多分今まで生きて来た中で一番神様に感謝した




