七
「さて、そろそろ洞窟を抜けるとしようか」
「ですね。正直もうクタクタです」
「私もだ。魔法でも精神的な疲労までは回復しないからね。回復出来るのは肉体的なものだけ……魔法も万能じゃないって事かな」
言いながら東雲さんは剣を鞘に収める。俺の相棒は…あ、あった。トロルが持ってたあの棍棒を見た後だと俺の相棒の何と可愛らしい事…
………ん?
「東雲さん」
「?どうかしたのかい?」
「………もう一回、お父さんの大剣を抜きに行ってもいいですか?」
「君に受け継がれたスキルがトロルの“怪力”だったとはね」
「何か不思議な感覚です。あんなに重かったこの大剣をこうやって持ってるのって」
…クロコ洞窟を抜け、二人並んですっかり日の落ちた夜道を歩いている。
俺の手が握っているのは東雲さんの親父さんの大剣。重くて全く抜けなかったあの大剣だ
俺に受け継がれたスキル…それはトロルの“怪力”
相棒の棍棒を持った時、違和感に気付いた。重かった棍棒がまるで羽を持ったかのように簡単に持ち上がってしまった
同時に理解した。受け継いだスキルが俺の身体にどういった変化を齎したのかを
「でも、このスキルのお陰でクロコ洞窟にお父さんの大剣を置き去りにせずに済みましたね」
「ああ。正直忍びないとは思っていたんだ。暗くじめじめしたあの洞窟に父を置いていくような気がしてね…」
本当に、このスキルを受け継いで良かったと思う。
東雲さんの表情が凄く嬉しそうなんだ。確かにお父さんの事は残念だったけど、こうして形見の大剣を持ち出す事が出来たから
「ウッドランドの宿屋はまだ空いているだろうか?」
「どうですかね?時間も時間ですし…」
「空いていなければ今夜は二人とも野宿になるね」
「望む所ですよ。昨日も野宿でしたし慣れました」
「……もしかして私と話した後君は宿屋に泊まらず野宿したのかい?」
「一文無しでしたし」
「…今日は泊まろう。ちゃんとした所で」




