六
考えてみりゃそりゃそうか。この世界じゃ傷付いたら魔法で治せばいいんだし絆創膏とか湿布なんて存在しないか。東雲さんが分からないのも当然だ
「それで、暁君。何か自分の身体に変化はあるかい?」
「変化…?いや、これといって」
「ふむ…。“スキル”が受け継がれ、何かしらの変化があると思ったんだが…」
「スキル?」
「トロルから君に受け継がれたものだよ。総称して“スキル”と言うんだ。スキルの内容は様々だけれどね」
スキルとか何かめちゃめちゃ異世界っぽくなってるなぁ…いや、これはRPGの方か?まあ今に始まった事じゃないけどさ
やっぱこうなってくるとドラゴンとか出ますよね。トロルなんかよりももっともっと馬鹿でかい魔物とかも絶対出るよね…全く勝てる気がしない。勝てるとかの前に勝負にすらならないと思う
「まあ、受け継がれたスキルは追々分かるだろう。分かるまでは分かった時の楽しみという事にすればいいさ」
「…そうですね」
「…?どうしたんだい?あまり嬉しそうじゃないようだけれど」
「いえ、何か俺が止めを刺したってだけでトロルのスキルを受け継いで…俺を助けようと命を張ってくれた東雲さんに申し訳ないなって…」
「ふふっ、何を言ってるんだ。君のあの策が無ければ私は今頃トロルの棍棒で潰されていたさ。それに、命を張ってくれたのは君も同じだろう?」
俺が考えた穴だらけの願望策…東雲さんがトロルの攻撃を躱し、連撃を繰り出す事で俺から注意を逸らす
その間に俺は洞窟の壁をよじ登りトロルの唯一の弱点であろう眼球を棍棒でぶっ叩く…という今考えれば穴だらけにも程がある策だった
トロルが俺のよじ登った方向に来るのかも分からなかったし、もし俺のあの攻撃が弾かれたり、避けられたりしていたら俺達二人は仲良くトロルによってぺちゃんこにされていたはずだ
………今になって寒気がしてきた
「だから、そのスキルは君が受け継いで何ら問題無いのさ。というかスキルの受け渡しなんて出来ないしね。スキルを持っている者を斃すしか方法が無いんだよ」
「……成る程…………………ん?」
「ち、ちょっと待ってくれ暁君?大丈夫だから、私は君を襲ったりなんかしないから。だから怯えないでくれ?というか襲うつもりなら君を治療したりしないだろう?」
スキルを受け継ぐと疑心暗鬼に陥る事が分かりました。




