五
淡い光はクルクルと円を描きながら落ちてきた衝撃で動けずにいる俺の方へと向かって来た。なにこれトラップ?ヤバくね?俺動けないんだけど
「し、東雲さん…!」
「…大丈夫だよ暁君。あれは危険なものじゃない。寧ろ君の力になってくれるものだ」
泣き出しそうな俺の顔を見て東雲さんはふっと柔らかく微笑んだ。そうしている間に光は俺の身体に入っていった
………何だったんだ、今の。東雲さんは危険なものじゃないって言ってたけど…
「強大な力を有する者は極稀に特殊な力を持つようになる。そしてそれはその者を打ち斃した者に宿り、受け継がれる…。私も今この目で見るまでは信じていなかったんだが…」
「特殊な…力…?」
「今君の中に入っていった光がそうに違いない。暁君、何か変わった所はーーーーいや、その前に治療が先だね。少し待ってくれるかな」
そう言うや東雲さんは目を閉じ、手を翳しながら何やらごにょごにょ唱え始めた。あれか、詠唱ってやつか。そういやウッドランドのおっちゃんが言ってたっけな…魔法を使うなら詠唱が必要だとか何とか…
あれ?東雲さん魔法も使えるの?
次第に東雲さんの手から柔らかな薄緑色の光が現れ、俺と東雲さんの身体を包んでいく
俺は今とんでもない状況を目の当たりにしている。いや、この世界では当たり前の事なのかもしれないが、俺からすれば有り得ない事が起きている。
東雲さんの傷がみるみるうちに塞がり、傷跡さえ残らずに完治してしまった。俺もまた然り、あれだけの激痛が嘘のように何ともない。凄い…凄過ぎる…!!
「…魔法はあまり得意ではなくてね。詠唱にも時間が掛かるし、闘っている間はとてもじゃないが唱えられないんだ。やはり私は剣で戦う方が性に合っているらしい」
「凄いですよ東雲さん!!傷が治った!打撲にも効くなんて!!絆創膏要らず!湿布も要らない!腰痛肩こりの心配無し!!」
「…ばん…しっ…?大丈夫か暁君…?すまない…私の魔法の腕が未熟だったようだ…君の頭の中までは治せなかった…」
「泣きますよ?」




