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二
「はぁっ…!はぁっ…!」
只今、全速力で森を駆けております。
トレーニング?だったらどんなに良かったでしょうね!!追われてるんです!!
誰に?獣ですねケモノ。それもただの獣じゃなくて三つ目のワンちゃん!!新種かな?
新種の生き物ってあんなにぞろぞろ群れをなすんですかね?寄ってたかって俺の事追い掛け回してます
とりあえず死にそうです。
「なんでっ……!こんな…事に…!!!」
切れ切れの呼吸の中、呟いた
普段からもっと鍛えとけば良かったと心の中で自分を戒めても遅い。というか人間が四足歩行の動物に走って敵うわけないじゃん畜生
森の中っていう地の利を生かしてジグザグに動いて何とか生き永らえてる感じ。わざと木の間通ったり、障害物ある所を通ったり、狭い道を通ったり…
…その甲斐あってか、段々と三つ目のワンちゃん達は俺を追う事を諦め、その姿は見えなくなった。
「撒けた…か…?」
額から流れる汗を拭いながらもう一度辺りを見渡す。姿が見えない事を確認して俺は膝から崩れ落ちた