十二
洞窟の中はやはり薄暗く、外よりもかなり寒く感じた。内部はかなり広く出来ていて、あちこちに道が枝分かれしている。迷ったりしないか不安だ
「ふむ、なかなか広く出来ているんだね」
「ですね。全部の道を調べながら行きますか?」
「そうする他無いかな」
「ていうか東雲さん、この洞窟に来た理由って何かあるんですか?」
俺に自分の腕を見てもらうだけじゃないだろう。東雲さんは最初からこの洞窟を目指してたんだし、腕を見てもらうのは単なるオマケ程度だと思う
東雲さんは俺の方を見て唇を噛んだ。表情は浮かない…あれ、これ訊いちゃ駄目な事だった?俺地雷踏んだ?
「父の…居なくなった父の手掛かりを探しているんだ」
「え…」
「私の父はとても腕の立つ人だった。私に剣を教えてくれたのも父だ。父を越える事が私の目標だったんだ」
「………………」
「そんな父が一年前に帰って来なくなった。父が最後に行くと言っていたのがこのクロコ洞窟なんだ」
……軽い気持ちで訊くんじゃなかった。東雲さんに悲しい事を思い出させてしまった
哀しそうに俺に笑い掛けると、東雲さんは俺から顔を逸らし前を向く
「さあ、無駄話はここまでだ。先に進もう」
「……はい」
「そんな顔をしないでくれ。君は何も悪くないよ」
「でも…」
「だから君が責任を感じる事はーーーーー暁君屈めっ!!」
「え?」
東雲さんの叫ぶ声に驚きながら言われた通りに身を屈める。屈んだ瞬間に俺の上を物凄い勢いで何かが通り抜けていった。




