十三
「治癒するよ。いや、させて欲しい」
「いやいいよこのくらい。唯だって疲れてんだからこんな事に治癒魔法使わなくたって…」
「怒るよ」
「よろしくお願いします!」
……本当に、君は。
知っているんだよ、君が毎日朝も夜も剣を振り続けている事。誰に言われるでもなく、自ら研鑽を重ねている事
その証拠がこうして掌に、戦闘に表れている。日中あれだけ闘っているのに夜も、朝も…。
「強くなってるよ」
「え?」
「凄く強くなっているよ。身体も心も技も」
私が右から来たと言ったあの時、零也は対処を間違えなかった。的確に身体を反応させ、攻撃をした
気付いていないのかもしれないけれど、今日君は魔物の攻撃を一度もまともに受けていないんだよ。攻撃を受ける前に躱し、防ぎ、斃していた
スキルの恩恵だけでは無い。君の武器が普通の剣でも今の君は魔物と十二分に闘える
「いや、あの……ウッス…」
「……ジェーノのような魔法を使えなくても、君は凄いし格好良いよ」
「え?これ夢?」
「本音を言っただけだよ」
「…………………あざます」
詠唱を始め、掌の傷を治癒していく
きっと君は治癒したところで、すぐにまたこの掌をぼろぼろにしてしまうのだろうけれど。
このくらいはさせて欲しい。ほんの少ししか力を添えてやるくらいしか出来ないけれど。
私が共に付き添って剣を教えると言っても君は絶対に断るのだろう?俺の為に朝早く、夜遅くまで付き合わせられない、と。
どうして君は他人に対してそんなにも優しく、思いやれるんだ?
オルガにも私にも…初めて会う人にすら。
「私が共に付き添って剣を教えようか?朝も夜も振っているだろう?」
「…知ってたんだ…でも丁重にお断りさせて頂きます。俺の為に唯を朝早く夜遅くまで付き合わせられません」
「ふふっ」
「え?笑う要素有った今の?」
「ううん、君らしいなと思って。ほら、治癒出来たよ」
「…ありがとう。すっげぇ助かった」
治癒した両手を何度か手を握ったり開いたりして零也は私に柔らかく笑い掛けて来る
……………………………。
「…唯?どうかした?」
「いや別に?零也は弱いなぁと」
「ついさっき言った事矛盾してませんか!!?頑張って強くなるから待っててね!!!?」




