十二
ジェーノが魔法を使えるようになって魔物との戦闘はかなり楽になった。最初こそ魔物と対峙するのに怖がってはいたが数を熟す毎に恐怖心は薄れていったらしく、日が暮れる頃にはしっかりと戦力になっていた
…というかこの近辺魔物の数が多い。経験を積むって意味じゃ願ったりなんだが、流石に疲労が勝るってくらい多い
全員野営の支度を整える頃には疲れ切っていて、会話が無い……静寂の中に焚き火の木が割れるぱちっという音だけが聴こえる。疲れたな…本当に。
それでも……やる事はやらなきゃな
「ちょっと素振りして来る」
「……正気かお前…死ぬぞ……」
立ち上がった俺にオルガはげんなりとした顔を見せる。流石のオルガも疲れたらしく、いつもの元気はない…元気というか、高圧さというか…
俺も疲れたし休みたいけどさ、こうでもしないと強くなれないんだよ
いつも通り少し離れた所で素振りを始める。構えて、振る。構えてーーー……
「右から来たよ!」
「!」
突然の声に驚きながらその言葉の通りに右へ大剣を振る。大剣は大きな風切り音を残して空振った
……何もいない…?
「うん、良い身の熟しだったね。しっかりと対処出来ていたよ」
小さく手を叩きながら唯が笑みを浮かべてすぐ近くに居た。昨日、今朝のジェーノに続いて今日は唯が俺の特訓仲間になるんだろうか
「零也、手を」
「手?」
「手を貸してくれ。ああ、貸してくれというのは手伝ってくれという意味じゃなくて…手を見せてくれないかな」
「えぇ……拒否」
「駄目だ」
「拒否」
「駄目」
「拒否」
「駄目」
「…………はい」
「よろしい」
渋々、俺は自分の手を唯に差し出す。その掌を見て唯は顔を曇らせた
「……頑張り過ぎだよ」
ぽつりと、そう呟いた
俺の掌には大剣を振り続けて潰れたマメや胼胝が何個も出来ていた。潰れる度血が出るのも気にせずに振ってたからな…結構痛々しくなっちゃってるから見せたくなかったのに




