十一
あれからというもの、ジェーノの顔は晴れない。何かを考え込んでいるように難しい顔をずっとしている……魔法が使えて喜ぶのかと思ったんだけどな
それにしてもさっきのジェーノの魔法凄かったなぁ……黒炎の炎魔法とか滅茶苦茶強そうだし、何よりカッコいい
「ジェーノ。何か思い出したのか?」
「……………え?」
不意にオルガが問い掛ける。考え事をしていた所為か、少し反応が遅れてジェーノが素っ頓狂な声を返す。そしてその問いに対して首を横に振った
「……何も思い出してないよ。ただずっと考えてたんだ。何で僕があんな魔法使えるんだろうって…」
「…あんな魔法を見た事なんて無かったよ。ただ見ているだけで恐怖すら覚えてしまうような…」
「ふん、癪に障る……あれだけの魔法が使えるのにしけた顔をするな!」
「痛っ!?」
少し強目にジェーノの背中を叩いてオルガが先に進む。叩かれた背中を摩るジェーノを見て唯は小さく笑った
「彼女なりに励ましているんだと思うよ。確かに何故君があんな魔法を使えるのか…もしかしたら君が記憶を喪っている事と通じているのかもしれないが、考えても答は出ないのだし今深く考えるのは止めよう」
「そうそう。俺なんかスゲー!カッケー!って感想しか出ないぞ」
「ええ…何それ…あははっ」
漸くジェーノの顔に笑顔が戻った。まだぎこちのない笑いではあるけど、少しでも元気になってくれたのなら良かった
「そんで、感覚は掴めたか?」
「……見てて」
ジェーノは手を翳し、掌を少し先の地面へと照準を合わせるーーーーその掌から火の球が現れ、地面へと放たれる。何と無詠唱だった
「うん。上出来だと思う」
「無詠唱とは…恐れ入ったな」
「スゲー!カッケー!!」
「零也幼児化してない?」
いやもうほんとそんな感想しか出てこないのよ。うわ〜俺もやってみて〜…
でも止めよう。ウッドランドでの悲劇を忘れてはならない
「貴様等置いていくぞ!早く来い愚図が!」
「オルガに向けて撃ってみて」
「たんこぶじゃ済まなくなるから絶対やらない」




