九
そして、早朝。
皆が寝ている中、また素振りを繰り返す(交代で番をするので、俺が番になってから)
皆を起こさないように、尚且つ魔物が現れた時に対処出来る絶妙な距離を保って素振りをしているけど……少しは強くなれているんだろうか?
「おはよう零也」
「おはよう…まだ寝てていいんだぞ?」
「ううん、僕も昨日の続きしたいんだ」
僅かに笑みを浮かべながら昨日と同じようにジェーノは俺の少し隣に肩を並べる
何か特訓仲間が増えたみたいでちょっと嬉しい。一人で黙々とやるより、隣にこうして同じように頑張る奴が居るだけでやる気が湧いてくる
「何となく…何となく感覚は掴めてる気がするんだ。あと少しだと思うんだけど…」
「そう…なのか?」
「僕の感覚がズレてなければ…だけど」
ジェーノの言うようにあとちょっとなんだとしたら何か一つアドバイスというか、背中を押してやれれば……でも俺が手助け出来るような事なんてないしな……
あ。
「詠唱!」
「え?」
「最初いきなり無詠唱で使ったからそれに固執してたけど、魔法って普通詠唱して使うんだろ?」
「そう…なの?」
あ、そうか…。ジェーノは記憶が無いからその事も分からないのか…
閃いたと思ったけど、詠唱を唱えられないなら意味無いか……うーん……
「……ちょっと待って。詠唱……か……」
一人ぶつぶつと何かを呟き、ジェーノは両手を翳して目を閉じる。そしてそのままーーーー
「……詠唱…だよな…?」
ジェーノの口から発せられていくのは聴き覚えのあるものだった。唯が治癒魔法を使う時に唱えるものに似ている
記憶が無い筈なのに、ジェーノは次々と詠唱を連ねていく。徐々に掌から螺旋状に渦を巻いた炎が現出し始めた




