15 AIプログラミングの落とし穴
※Geminiに書いてもらいました。
15章:AIプログラミングの落とし穴
今日も人間拡張の実験室で、
リュウホウとブレンダがモニターを囲んで議論(という名のイチャイチャ)をしている。
「見て、リュウホウ! この最新の制御プログラム。
人間拡張のインターフェース用なんだけど、AIに全自動で組ませたの。バグ一つない、完璧な美しさだわ!」
ブレンダが誇らしげに胸を張る。
彼女の背後では、父ビール・ゲッツが提唱する「世界支配」のためのサーバーが、静かに、しかし力強く駆動音を立てている。
「へえ、AIが書いたコードか……。ちょっと見せてくれ」
リュウホウは実はプログラミングに明るい。
彼は「庶民主導のより良い世界」を目指す身として、支配層が使うシステムの「中身」を
理解しておく必要があると考えていた。
彼はモニターに流れる膨大なソースコードを、グラフェン化された鋭い視力で追う。
「……ん? ブレンダ、ここ、おかしくないか?」
「え? どこよ。
AIがデバッグまで済ませたコードに、人間がケチをつけるなんて100年早いわよ」
リュウホウは、入力処理のモジュールを指差した。
「この『ボタンが押されている間は1回しか反応しない』ように制御するコードだ。
一見普通に見えるけど、内部のカウンタ変数の処理と、特定の条件分岐が組み合わさっている。
……これ、数万回に一度のタイミングで、入力を完全に無視するようになってないか?」
「……えっ?」
ブレンダは慌ててコードを読み直した。
確かに、極めて稀なタイミングでフラグがリセットされず、
入力を受け付けなくなる「論理の隙間」が存在していた。
AIはこれをデバッグできるのか?
「リュウホウ、落ち着いて。AIに『このプログラムをデバッグして』って命令すれば済む話よ。やってみるわね」
ブレンダがAIに指示を出す。しかし、AIの回答は冷たいものだった。
AIの回答: 「構文エラー(Syntax Error)および実行時エラー(Runtime Error)は検出されませんでした。
ロジックは正常に機能しており、効率的です。デバッグの必要はありません」
「ほら、AIは『正常』だって言ってるわよ?」
「そこが怖いんだ、ブレンダ」
リュウホウは顔を曇らせた。
「AIは『書かれたコードが意図通りに動くか』はチェックできる。
でも、その『意図』そのものに潜む欠陥や、
統計的に無視できるほど低い確率で起こる致命的な不具合を、
『効率化の結果』だと判断してスルーしてしまうことがあるんだ」
このプログラムの場合、AIは「無駄なリセット処理を省いて効率を上げた」と判断していた。
それが特定の条件下でフリーズを引き起こす「毒」になるとは夢にも思わずに。
AIがデバッグできなかった時の「怖さ」
「AIがデバッグできない……。それがどうしてそんなに怖いのよ?
たまに入力が効かないくらい、ボタンを押し直せばいいじゃない」
ブレンダが首を傾げると、リュウホウは真剣な表情で彼女の肩を掴んだ。
「いいかい、ブレンダ。君が進めているのは『人間拡張』だ。
もし、そのボタンが**『人工心臓のペースメーカーの停止ボタン』だったら?
あるいは『自動運転車の急ブレーキ』**だったら?」
リュウホウは静かに語り続ける。
「再現性のない恐怖」 数万回に一度しか起きないバグは、人間のテストでは見つけにくい。
そしてAIが「正しい」と保証してしまったら、エンジニアはそれを信じ込み、原因不明の事故として処理される。
「ブラックボックス化する支配」 AIが書いたコードは、
AIにしか理解できない複雑な構造(スパゲッティコードの進化版)になる。
人間が理解するのを諦めた時、世界のインフラは「誰も中身を説明できないブラックボックス」に支配されることになる。
「悪意なき虐殺」 AIに悪意はない。
ただ「効率」を求めた結果、10万人に1人のエラー(死)を「許容誤差」としてプログラムに組み込んでしまうかもしれない。
それは、ビール・ゲッツが意図する支配よりも、もっと無機質で残酷な結果を招く。
「……AIが『完璧だ』と言った瞬間に、人間は思考を止めてしまう。それが一番のホラーだよ」
「……」
ブレンダは少し青ざめ、自分の書かせたコードを消去した。
「……わかったわよ。リュウホウ、今日の実験はやめて、一緒にコードの手直しをしましょう。
……その代わり、終わったら美味しいアイス、奢りなさいよね!」
「ああ、もちろんだ。AIには判定できない、最高の味を選んでやるよ」
二人は再びモニターに向かった。
AIが作る「ユートピア」の裏側に潜むバグを、人間の手で一つずつ潰していくために。




