あらすじ
某大賞に出したかったけど、間に合わなかったやつ2。
そこでは『失わなければ得られない』をモットーとする。
その通りに大切なものを訊ねて、奪う。両親だと言った子の前で彼らを殺す。失踪したものをわざわざ探し出してまで。
そうやって情緒が育つ前に剪定すると、少女たちは開花する。
異様に視力が鋭いグレイハウンドという部隊や、聴覚で観るディアブロという部隊ができることもある。
そこは蒸留所と呼ばれる。生産物のできによって『甲類』『乙類』と呼称していた頃があり。
「焼酎の区分みたいだ」
極東の顧客が、ぽつりと溢したからだ。
節操なく、優れたものは外から取り入れる。どうせ損はしない。
混ぜ合わされた製品が出荷されるときには、極上の工作員と化している。
嘘の戸籍に溶け込み、異能の力を持ち、世界に羽ばたく。
引退後、優秀であれば……母体となる。
世代が経ち奇跡を数で補っていく間に、いいとこ取りの優秀な『カクテル』ができた。『当たり年』などもあり、それらはとりわけ強大である。
ヴェルヴェットはカクテルの一つだ。彼女は任務を失敗してしまい、帰ればまた何かを失うおそれがあった。恐れという感情すら除去されるかもしれない。
これ以上取られないため、強さを望む。しくじった要因を師と仰ぐことも厭わず。
師と乞われるのはイェネーヴァ(xxx歳)。最初期から猛威を振るっていた彼女は、気ままな生き方そのままに組織を去った。十代と言って通るほどに透き通る美少女。中身は酷薄。
当初こそ追手はいたが、傑作が次々とさらし首になるのに辟易した組織は、追跡をやめた。
「干渉しなければ何もしない」
死体の首に残された、遠目には咲き誇る花々の刺繍が決め手となる。
二人は任務で接触し、彼女の気まぐれによってヴェルヴェットは生かされている。
性格からか、彼女には大切なものが多かった……だから取り上げられた。一つを除いて。
自分の綺麗な髪が好きだと言ったが、毛髪がないのは。という温情でそれはまだある。
それ以外は、視力はほとんどなく、味覚もない。臓器も切り貼りをして保っている。
少女は強くなったが、壁は越えられなかった。心の弱みに付け込まれ、自分でリスクを決定したつもりで代償を支払い……更に強靭になる。
イェネーヴァは絶望する。ヴェルヴェットにはそうなってほしくなかった……
よって、戦わなければならない。
根が同じであれば、共に花散らすのは定めである。
8月締め切りの大賞への投稿が間に合いませんでした。
5作品以上同時に進めていたのと、勉強とお仕事に忙しかったからです。
とりあえずあらすじだけ載せて反応が得られるかなぁ?