競技場は体育祭の夢を見た
競技場で体育祭が行われている。
短距離走、ハードル、リレー、障害物競走、長距離走、走り幅跳び、走り高跳び、綱引きなどなど色々な競技を、沢山の競技出場者が広いグラウンドで競いあっていた。
観客席には競技出場者の家族が陣取り、出場者に声援をおくり持って来たお弁当を食べたりお茶やジュースを飲んだりしている。
会場全体を包むようにテンポの良い軽快な音楽が流されている。
そんな声援の声や軽快な音楽を掻き消すように突然、競技場がある街全体にサイレンが鳴り響く。
そして街の上で何かが炸裂。
普段太陽から注がれるている放射線とは比較にならない程の量の放射線が、街や競技場に降り注いだ。
その放射線を浴び、グラウンドで競技を行っていた人たちも観客席で競技出場者に声援をおくっていた人たちも老若男女の区別無く全て息絶える。
「ハッ」
夢を見ていたのか?
沢山の白骨化した遺体が転がる競技場内を見渡して、競技場は夢を見ていたことに気がついた。
なんであの時の、人々が死に絶えた時の夢なんて見たんだ?
あの時から数百年以上の年月が経っているのに。
バキバキと競技場の一部の鉄骨が崩れる音を聞き。
競技場もまた建築物としての寿命を迎えた事を理解する。
競技場が大音響を立てて、沢山の白骨化した人の遺体を巻き込みながら倒壊した。
倒壊した競技場の周りにも沢山の建築物だった物が倒壊している。
此等は数百年数千年後にはチリとなり、人間が生きていた痕跡は何処にも見当たらなくなるのだ。