一章 始動編17
次の日、六人は朝から迷宮の攻略に取り組んでいた。何度死にながらも確実に実力を上げていた。
そして、別の二人も六人の少し後に迷宮の攻略を開始した。
十二時を過ぎた頃、先に六人が迷宮から出てきた。流石に疲れたらしく休憩を始めた。
昨日より進みが早かったらしく既に三十五層まで到達したそうだ。戦闘にも少し慣れてきたらしく少しづつだが、動きに迷いが無くなってきていた。しかし、ここからが迷宮の怖いところだ。迷宮は入ってきた人に合わせて変化していく。
ここからが本当の迷宮の始まりだった。
昼食を終え、六人は迷宮攻略を再開しようとした。
そんな最中、迷宮から二人が出てきたのだ。
六人はそんな二人を見て驚いたと同時に直ぐに戦闘体制を取った。
しかし、出てきた二人のうちの一人は六人を見てあの場にいた六人だと確信付けた。ほとんど顔は見えなかったが雰囲気や姿から容易に判断が出来た。
そしてその場にいた燐と楓以外は顔見知りだったとこに驚いた。
「って会長ですか。それに会長の妹さんまで、どうしたんですか」
「それはこちらのセリフです。あなた達こそ、ここで何をしてるんですか。それに、そちらは転入されたお二人ですよね。この前の夜の騒動の際にも皆さんはあの場に居ましたよね。説明してもらえますか」
楓が代表して海音達と同じように質問し、解答を得た上で詳しく説明した。
二人は信じられないといった様子だったが、信じる他なかった。
しかし、会長自らあの戦闘を見ていたからだ。
そして、二人は受け入れ改めて自己紹介をした。そして、ここにきた経緯を説明してもらった。
会長の名は梵遥香、妹の名は梵花音といった。
二人も一緒に迷宮攻略に挑む事になった。再び迷宮の説明を二人にし、六人改め八人は迷宮攻略を再開した。
しかし、燐だけは一度帰った。そして、直ぐに今回の元凶であるいつきに連絡をし、会う事になった。
「お待たせ。どうしたの?ちょうど今頃、特訓中じゃなかったんですか?」
呼び出した経緯を話した。いつきは凄い冷や汗をかき、全力で動揺していた。
そして、全力で謝っていた。しかし、いつきにも理由があった。
「それであの二人はやっていけそうかな?本当はもっと早く紹介しようと思っていたんだけど、忙しくてタイミングが無くてね。今回、ドッキリとサプライズを兼ねてそっちに行かせたんだよ」
「まあ、驚きはしましたけどそんなサプライズは入りませんよ」
燐は笑いながら軽く牽制をした。
いつきはそれを感じとり、少し膨れた顔をしていた。
そんないつきを見て笑いながら二人は別れた。
燐は迷宮に戻ってきた。戻るとその場は死屍累々酷い状況になっていた。楓以外、倒れていた。
「姉さん、これどうしたの?」
楓はこの状況を簡単に伝えた。
迷宮の難易度が上がった為、なかなか勝つ事ができずペースが少し落ちていた。五十層を超え、楓が今日の攻略は無理と判断し休んでいたそうだ。
二人も過去に同じ経験をしたていた為、懐かしんでいた。
懐かしんでいると、遠くの方で何か空気の揺らぎを感じた。二人は少し不審に感じた為、いつきに場所を確認してもらう為に連絡を入れておいた。
「あの二人、こちらに気付いたみたいですね。流石は彼の方の子と言った方がいいですね」
「こちらまで来ないにせよ、誰かしら人員はこちらに来るだろう。だが、痕跡は残さんゆえ、無駄足になるだろうがな」
「それにしても情報より二人増えてませんか?」
「そうだな。だが、それぐらいでは支障は無い。それよりも行くぞ」
「はーい」
謎の二人は黒いモヤに消えていった。
いつきは直ぐに連絡をもらった場所に向かったが、痕跡は消され、無駄足になってしまった。
特訓を始めて一ヶ月が経った。六人はあれから苦戦をしていたがペースも上がっていき、今は順調に進んで四百五十層を突破した。
燐達は全然こんな結果になるとは想像もしてなかった。
六人は順調に強くなっていき今では人類の中でもトップレベルだろう。カグツチとも一人で渡り合うことすら出来るだろう。だが、保科麻美とその後に現れたフードの男には今の状態では負けるだろう。それほど強い相手だった。
「俺達も本気であの力をコントロール出来るようにならないといけないな」
「そうね。私達も次に進まなくちゃいけないわね」
そういって、二人は迷宮に入って行った。
数日後、六人が夢幻の迷宮の千層を突破した。
雰囲気がとても変わり、内包する霊力の量が圧倒的に増えていた。二人でも三ヶ月掛かった迷宮を半分の一ヶ月半で攻略してしまった。
二人は驚いたが、直ぐに次のステップに進むことにした。
「まだ、時間があるから次に進むか」
「次ですか」
「あぁ、最上位星霊との契約だ。海音は前の仮契約の事を覚えているか」
「うん、覚えているよ。ずっと仮契約した時のデメリットが何なのか気にはなっていたけど、とりあえずは攻略に集中したかったから気にしない様にしてはいたんだけどね」
「流石に気にはなるだろうな」
「そうだよねー。私なら速攻で聞いてる気がするよ」
笑いながら四人が話していると、遥香と花音が不思議そうにしていたので四人が経緯を話すと驚いた様子だった。
楓が手を叩き、皆んなの意識を戻すと燐は話を続けた。
「仮契約の代償について話すよ。それは仮契約を交わした星霊と本契約を交わすまで他の星霊とは契約が出来ない様になっている。だから直ぐにミカエルと契約を交わせよ」
「分かりました。全力を尽くします」
「それと他の五人も今から契約しに行くぞ」
「「「「「!」」」」」
「私達もですか」
花音は驚いていた。遥香は全てを教えてもらった為、こうなるだろうと感じていた。
六人は早速契約をするために、行動を起こそうとしたが既に深夜零時を回ろうとしていた為、明日にすることにした。
次の日、燐は五つの扉を開いた。それは海音以外の五人が契約する星霊の居る場所に繋がるものだった。
「海音はここでやるよ。その他の五人は目の前に出た扉に入ると目の前が目的の場所だから頑張って」
五人はその言葉を聞いて、目の前の扉を開き歩き出した。
扉が消えたのを確認し、燐はミカエルを呼び出した。
「ミカエルちゃんとうじょーう。結構速かったねどうしたのって思ったけど、よく見るとあの時の男の子じゃーん。どうしたのどうしたの?」
「相変わらずうるさいな。ちゃんと見てみろ」
「えーっ、教えてくれたら速いのに」
緊張した海音の姿をじっくり見ると、一ヶ月半前の仮契約の時とは別人になっているのを見て理由を察した。
「なるほどねー。ちゃんとした契約をしたいって事かー。私も全然良いんだけど耐えれるの?」
「行けるだろ。じゃなきゃ俺もやらせようとしてねえよ」
「なら安心だね。じゃあついて来て」
ミカエルはそう言うと海音を連れて森の中に入って行った。
森を進んでいくと一つの大きな広場にたどり着いた。
「さあ、ここでやろうか。最上位星霊の契約は普通とは違う。私達が出す課題に回答を出す事が契約の条件なんだよ」
「課題ですか」
「そう。星霊によって違うからね。まあ、私の課題は『私に勝つ事』ただそれだけだから。早速始めよっか」
海音はミカエルとの契約を開始した。
海音がミカエルとの契約を開始した頃、他の五人も星霊と相対していた。
「頑張れよ、お前ら」
燐は空を見ながら小さく呟いた。




