表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

始まりの時part2

今朝のことが頭から離れない。




「どうしよう、まったく頭に入らねぇ」


修行場所ってどこ?飯は?家は?そもそもどうやって行くんだ?

等々の疑問が湧きすぎて、まともに授業に集中できないのである。






そんなことを考えていると、隣の席のやつに揺すられて我に返った。

琴美「大丈夫、光真?」


光真「あ、ああ。大丈夫だよ琴美...」


こいつは、幼馴染みの黒華琴美(くろばな・ことみ)


といっても半分養子みたいなものだ。

琴美はある日俺の家の前で倒れていて、当時小学生だった時の俺が帰り道で見つけてしばらく家で様子を見ることになった。





琴美が目を覚ました後、なんでこんなところで倒れているのかと聞くと


琴美「お父さんとお母さんは怖い人に連れていかれたの」と言っていた。







このことに対して勿論父さんに言った。父さんは即座に探してくれたが、犯人が暗黒未来の人間であることしか掴めず、結局琴美の親は行方不明のままだった。




光真「お前、これからどうするの?」

そう聞くと、琴美は小さく首を振るだけで何も言わなかった...いや、言えなかったのかもしれない。



光真「あー....もうじゃあお前うちに住め!」

琴美「え、いいの.....?」


琴美は目を見開いて俺の方をまっすぐ見てきた。

当時小学生の俺にはあまり一緒に住むことなど問題ないと思っていて、こんな軽はずみな発言をしたんだろう。


光真「父さんには俺が言っておく。それに、お前をこのままには出来ないだろ。」

琴美「ありがとう...えっと..」


光真「光真、月聖光真。よろしく」

俺はそう言って手を差し出した。

琴美「黒華琴美です。よろしくお願いします」

琴美はなんどもなんども手を握って上下に振っていた。



その後、俺は父さんに事情を話すと二つ返事で許可をくれた。

拓真「光真、いくら二人きりだとしても、琴美ちゃんに手を出すなよ」


この時の俺はそんな知識もないので何と答えればいいかわからずに「わかった」とだけ言った。後々考えれば、よくこんなこと出来たな俺、と心底思える。




それから俺たちは同じ中学、高校と進学したが、流石に高校で同じ家に住むのはまずいとのことで家は近いがお互い別のところに住むことになった。


別のところに住むことになると琴美に話した時なぜか少しふてくされていた。





光真(あれはなんだったんだ...?)








琴美「今日ぼーっとしすぎじゃない?何かあったの?」


(ありすぎて困ってるんですよ琴美さん。)



光真「いや、特に何もないねぇよ。」


琴美「そう?」





授業終了のチャイム






琴美「あ、終わった。私帰るけど光真はどうする?」




(これから、修行場所へ送ってくれる人がいるらしいし琴美を巻き込むわけにはいかないな)

どうやって俺のことをそこに送るのかわからないが、父さんが言う修行場所が生易しいわけがない。





光真「先に帰ってていいよ。帰ったら宿題見せてくれ」


琴美「結局自分でやるくせに。いいおもちゃですよ私は」


光真「悔しかったら勉強勝ってみるんだな」


琴美「うるさい!前回も惜しかったんだから、次は勝つ!」





煽られると顔を真っ赤にしてこういうこと言ってくるからいじりがいがあるなこいつは。



(でもこいつとも、もう会えなくなるのか。)





琴美「どうしたの?光真。」

少し寂しい雰囲気だったのだろうか。



光真「何でもねぇよ。またな」


琴美「ほんとに?じゃあ、また明日...」





そういって琴美は教室から出ていった。

しばらく勉強が出来なくなる...ていうか、下手したら一生帰ってこれないかもしれないから少し勉強しておかないと頭がついていけなくなるため、少し居残ることにした。







教室にペンの音が響いている。

この教室にはもう俺しかいない。

大体最後の方まで騒いでる奴らも今日は早めに帰ったらしいから勉強には集中出来た。



光真「よーし、終わった。さあ、帰るか」



鞄を肩にかけて机を立ち、教室から出たその時だった。


???「わあ!」

光真「うわ!なんだ?!」


そう思って見てみると琴美が横にいた。

鞄からペンが少し出ているのを見るとこいつも勉強していたのだろうか。




光真「お前、なんでいるんだよ」


琴美「何か今日の光真は終始変だったから、見ていて危ないので私が送っていってあげる!」


光真「いらねぇよ、てかお前俺の親かよ!」


琴美「でも、どうせ一緒に帰る人いないでしょ?」


光真「そりゃあ、そうだけど」

こいつ、狙ってやがったな。

まあ、どっちにしろ最近琴美とも帰ってなかったしちょういいので一緒に帰ることにした。








~下校路~





桜の木の雪が少しずつ積もってきている。


光真「雪も中々やまないな...」



この風景を見るのも、もしかしたら最後になる、

そう考えると少し寂しい気持ちもしてきた。


桜を見ながらそう思っていると琴美が話しかけてきた。


琴美「ねえ光真。光真って将来は星光未来に入るの?」


光真「さ、さあ?どうなんだろうな...」

(こいつ、なんでこんなタイムリーな質問するんだ)


琴美「仮に入るとしたら能力とかって分かってるの?



光真「いや、まったく。」


そう、俺は自分の能力を知らない。




昔、親に一度能力のことについて言われた。


『お前はすごい能力がある。それを世界を守るために使いなさい』


と。しかし、俺は未だに自分の能力を知らないし、親に聞いてもまったく答えてくれはしない。




光真「それも、修行か~」


琴美「え、何のこと、修行って?」



光真「あ、いやなんでもない」


琴美「何?秘密のことなの?」



何とか話を変えようとしていたその時、


ゾワ,,,!


と、凄まじい殺気を感じた。琴美もそれを感じたらしく周囲を警戒している。




次の瞬間、いきなり周りから凄まじい光が溢れてきた。

「なんだ?!こr..」

言い終える間もなくその光は光真を包み込んだ。





~???~





光真「、、、、!何が起こった?それに何だ今の殺気。」


琴美「どこ?ここ....」




???「へぇー、君たち、殺気を感じ取れるんだ。」


声の方を見ると、黒髪にニット帽を被った若そうな男の人?が円盤のような物の上にたっていた。




光真「、、、誰だ、お前は?」

そう聞くと男はクスクス笑いながらこう言った。



堕天「僕のことが見える...

ということは君が拓真さんの息子かな?

僕の名前は堕天(ルシフェル)。よろしくね。」



父さんを知っている?ならこいつは星光未来の人か?



光真「お前、父さんを知っているのか?」



堕天「うん、僕は昔拓真さんにお世話になってね~。それでこの前『俺の息子をそっちで修行させたいから、案内を頼む』って言われて、君を連れてきたって訳。君の名前は?」



光真「光真、月聖光真。」



怪しさMAXだが、ここで歯向かってもどうにもならないな...


堕天「光真くんか~よろしくね。それでそっちのお嬢さんは?」


そう言って琴美の方を見ると琴美は軽く会釈すると、俺に小さい声で聞いてきた。

琴美「ねえ、光真この人大丈夫なの?信用できる?」


光真「わからない。でも父さんの知り合いっぽいし信用して大丈夫じゃないか?」





琴美は「わかった」と返してルシフェルにそのまま向き直し言った。


琴美「黒華琴美です。あの、こんにちは...」


堕天「琴美ちゃんね。よろしく~」


琴美「あの...それでこれから私達をどうするんですか...?」


堕天「あ、琴美ちゃんには何もしないよ。用事は光真だから。」


琴美「え、光真に?何するんですか?」

琴美の声には不安が混じっていた。

少しすがるような目でルシフェルの方を見て、その後俺の方を見たが俺はこのことを知っていたからさほど動揺はしなかった。それが、琴美には辛かったのかもしれない。





堕天「光真は、今日から修行場所に行かなきゃいけないんだ。君も知っているだろうけど彼のお父さんは星光未来の隊長だ。当然彼にも星光未来になって欲しいと思っている。拓真さんは光真をそろそろ鍛えたいらしいよ~。でも拓真さんも忙しい、だから別世界で修行することになったんだ。」


光真「別世界?それってよくある異世界ってやつ?」


堕天「似ているけど違うかな~。」


ルシフェル曰く、異世界は宇宙事態が別なものらしく、別世界は同じ宇宙内にあるけど結界で固められていて普段はまったく出入り出来ない。

何かしらの事故で行くか、星光未来の限られた人しか行く方法を知らないと言う。


琴美「あ..あの、仮に行ったとして光真は、いつ帰ってくるんですか?」

それは、俺も結構気になってた。確か手紙では【1000万】とか書いてあったけど、あれって何の数字だ?



堕天「わからない。それは完全に光真次第だね~、早ければ一年、最悪一生帰ってこれないかもしれない。」



光真「一生...」

一生...頭のなかでその文字が回り続ける。長くても大学になるには帰ってこれると思っていたから、正直少し怖くなってきた。



琴美「光真...行かないよね?また...私一人に..」

そう聞く琴美の目には涙が浮かんでいた。



堕天「行くか行かないかは君次第だよ光真。

1つ言うならば最近暗黒未来が活発な理由は光真、君を捕らえるためだ。」



そう言うと、ルシフェルの方と俺たちの方に穴が二つ出来た。俺たち側はもとの世界へ繋がっているのか外の風景が見えた。



光真「あのおっさんたちが沢山出てくるだけだろ。それなら行かなくてもいい。」



そう言うとルシフェルは軽く首を横にふって言った。

堕天「もう、あんな下部組織の奴らは出てこないよ。近いうちに『8つの厄災』の一人が来るとか噂されてる。仮に来た場合は、君の町、仲間、もちろん琴美ちゃんも殺されるだろうね。」



頭の中が真っ白になった。『8つの厄災』?あの父さんが言ってたおとぎ話のやつが来る?琴美もみんなも殺される?そんなことは許さない。


光真「....もし、仮に俺がそこに行けば琴美たちは殺されないですむのか?」


堕天「それは保証できるよ~、あくまで狙いは君だ」



もし、俺がそこに行かないでみんなが殺されてしまうなら...俺の答えは決まってる。


俺は決心をすると、琴美に向き直った。


光真「琴美、俺は行く。」


琴美「うん...その目は、もう止められないね。

じゃあ、1つだけ約束して..」


次の瞬間俺の胸の中にはに琴美がいた。

光真「こ、琴美?」


琴美の肩は震えていた。昔、道端で倒れていた時と同じ空気を纏っていた。


琴美「約束..して。絶対に帰ってきてよ。」

泣きながら言った琴美の言葉は強く、そして優しかった。


光真「ああ!待ってろ、一年ちょっとで帰ってきてやるから。そしたら....」


(必ず迎えに行く)


琴美「うん、待ってる..!」


光真「琴美、ありがとう。じゃあ、またな..!」


俺が言うと琴美は涙を拭いながら元の世界の穴に入った。










堕天「さあ、好きな子との感動のお別れは終わったかな?」


光真「....ああ、もう大丈夫だ。」

琴美は俺を信じてくれた。俺はそれに答えるだけだ。


堕天「強いね君は。流石拓真さんの息子だけあるよ」


光真「そりゃあどうも。

ところで、具体的には何処に行くんだ?修行をどこかでするのは聞いていたけど、場所はどこかわからない。」



堕天「君にこれから生活してもらうのは.....」


元雄界(げんゆうかい)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ