異世界転生の際にはきちんと内容確認をしましょう
日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第九十弾。
今回はキリ番企画で、元のお話のタイトルは伏せております。
どうぞ推理しながらお楽しみください。
『……えますか。聞こえますか……』
……何だ? 聞きなれない女の声……。
身体の感覚が曖昧だ……。
これは夢かな……。
『夢ではありません。あなたは亡くなり、魂だけの状態でここにいます』
何!? 死んだ!?
一体どうして……!?
『ホームレスだったあなたは、野鳥の卵を取ろうと木に登り、足を滑らせて落ちました。打ちどころが悪くてそのまま……』
……あー、何となく思い出してきた……。
情けないな、俺の死に方……。
『そこであなたの魂を異世界で転生させようと思って、ここに魂をお呼びしたわけです』
何!? 異世界転生!?
チートな能力を持って、異世界で自由気ままに生きられるってやつだろ!?
ラッキー!
『転生に際して、何かご希望はありますか?』
うーん、そうだな。
金に困らない生活がしたいな。
何か貴金属を生み出す力とかあれば安泰だろう。
『わかりました』
それと性別は女がいいな!
で、ちやほやされる立場になりたい!
『わかりました。他にはありますか?』
いや、それだけあれば十分だ。
『では良い異世界転生を』
その声と共に俺の意識は光に呑まれていった……。
「待ぁてえええぇぇぇ! 腹の中に金の塊が詰まっているんだろう! 裂ぁぁぁかぁぁぁせぇぇぇろぉぉぉ!」
ぎゃあああぁぁぁ!
馬鹿かこいつは!
金を生成してるのは俺の転生スキルだ!
殺したら手に入らなくなるとか考えないのか!?
「塊ぃ! 金のぉ! 塊ぃ!」
のおおおぉぉぉ!
こんな事なら、『種族は人間で』と言うべきだった!
いや、今はそんな事を考えている場合じゃない!
逃げ切らないと!
「おい、金の卵を売って金持ちになったヨハンが追いかけてるって事は……!」
「あれがもしかして……!」
「捕まえろ!」
いやあああぁぁぁ!
追手が増えたあああぁぁぁ!
もう勘弁してえええぇぇぇ!
何とか逃げ切った俺は、人目を避けて隠れて暮らす事になった。
とほほ、もうチート能力なんてもうゴリゴリだよ……。
読了ありがとうございます。
転生先は話によって二種類ありますので、お好きな方で。
追放ざまぁ系の主人公も、このパターン多いですよね。
「あのお荷物を追い出せば、俺達の分け前が増えるぜ!」
↓
そのお荷物がメンバーの要でした。
↓
「グエー!」
好き。
次回は『虎の威を借る狐』で書こうと思います。
よろしくお願いいたします。




