青い鳥 その一
日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第八十九弾です。
今回は『青い鳥』で書いてみました。
前回の反動か、だいぶ短くなっています。
どうぞさらっとお楽しみください。
昔々、あるところに貧しい木こりの家がありました。
そこには二人の子どもがいました。
兄はチルチル、妹はミチルと言いました。
クリスマス前日の夜、二人の元に魔法使いのお婆さんがやってきました。
「私の娘が病気になってねぇ。病気を治すために幸せを呼ぶという青い鳥を見つけてくれないかねぇ。ちゃんとお礼はするから」
「うん、わかった」
「任せてお婆さん」
「この魔法の帽子を貸してあげよう。額のところにあるダイヤを回すと、色々な世界に移動できるよ」
「ありがとう!」
「必ず見つけるわ」
チルチルは早速帽子を被ると、ダイヤを回しました。
すると二人は『思い出の国』にたどり着きました。
「さぁ、青い鳥を探そう!」
「待ってお兄ちゃん」
「何だいミチル?」
「このまま南に五歩歩いて」
「? うん」
ミチルの言葉に首を傾げながらも、チルチルは言われた通りに歩きました。
「そうしたら帽子のダイヤを掴んで、回さずに手を下ろして」
「え、う、うん、こうかい?」
「次は西に二歩歩いて、もう一回ダイヤを掴んで、また回さずに手を下ろして」
「……これは何なんだい?」
「いいからそのまま続けて」
何が何だかわからないチルチルは、それでも言われた通りにします。
「最後に北に一歩歩いたら、ダイヤを逆に回してお家に戻って」
「???」
チルチルは言われた通りに動き、お家に戻ってきました。
「なぁミチル、まだ青い鳥を見つけてないのに……」
「大丈夫よお兄ちゃん」
ミチルが家のドアを開けたので、おずおずと家に入るチルチル。
すると驚いた事に、家で飼っていたハトが青い羽に変わっているではありませんか。
「え、何、これは……?」
「あのね、座標を合わせながらダイヤでの移動キャンセルを二回挟む事で、ゴールフラグを取得したの」
「えぇ……?」
チルチルには、ミチルの言ってる事が何一つわかりません。
しかし、ミチルが満足そうな顔をしているのを見て、チルチルは頬を緩めました。
「幸せはいつも身近なところにあるって事なんだね、きっと」
「うん!」
こうして青い鳥を見つけた二人は、帽子を返すと共に青い鳥をお婆さんに渡し、たくさんのお礼をもらい、素敵なクリスマスを過ごしましたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
ミチル「これが一番早いと思います」
昔遊んだゲームのタイムアタック動画などを見ると、「こんな技があったのか!」と感心して楽しくなります。
バグ技であっという間にクリアし、「ほらエンディングだぞ、泣けよ」されて目が点になる事もありますが……。
次回は九十話。
キリ番企画でタイトルを隠して書く予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。