三びきの子ブタ その一
パロディ昔話第八弾です。今回は『三びきの子ブタ』になります。
三びきの子ブタと言えばこの方!
西欧昔話界のダークヒーロー、オオカミさんの登場です!
牧畜において、オオカミは憎むべき害獣でした。
故に悪の代表として苛烈な目に遭う事を望む声が、彼をダークヒーローへと押し上げたのでしょう。
……こう書くとバ◯トマンのジョ◯カ◯みたいで格好良いですが、日本で言ったら時代劇の悪代官ですね。
手向かいすると為に成らぬぞ! 大人しくギャグに着けぇ!
それでは『三びきの子ブタ』お楽しみください。
昔々、あるところに三匹の子ブタがいました。
子ブタ達はお母さんブタに言われ、それぞれが自分の家を建てて独り立ちする事になりました。
長男のブタはワラの家。
たった一日でできました。
次男のブタは木の家。
一週間でできました
三男のブタはレンガの家。
一月たってもまだ途中。
一匹のオオカミがいました。
オオカミはお腹がペコペコでした。
「腹へった……。どこかにうまいものは……」
と、そこで長男ブタを見つけました、
「うまそう! いっただっきまーす!」
「わー! オオカミだー!」
長男ブタはワラの家に逃げ込みました。
「くくく、こんな家、吹き飛ばしてくれるわ!」
オオカミは大きく息を吸い込んで、
「ふぅー!」
「うわー! お家がー!」
ワラの家を吹き飛ばしてしまいました。
「ぐへへ、覚悟しろ!」
「うわー! 助けてー!」
長男ブタは辺りに散らばったワラを投げ付けます。
「ぐへへ、無駄な抵抗を……、あ、いた! 痛い! ワラって目に入ると超痛い! 目が、目がぁ! あいた!」
オオカミは目をこすっている内に、バランスを崩して地面に頭を打ちました。
「おおおぉぉぉ……!」
オオカミの頭にはぽっこりたんこぶができました。
オオカミが痛がっているすきに、長男ブタは次男ブタの木の家に逃げ込みました。
「ちくしょう、ひどい目にあった……。次は木の家か。こんな家、吹き飛ばしてくれるわ!」
オオカミは大きく息を吸い込んで、
「ふぅー!」
「うわー! お家がー!」
「僕のお家がー!」
木の家を吹き飛ばしてしまいました。
「ぐへへ、覚悟しろ!」
「うわー! 助けてー!」
「誰かー!」
長男ブタと次男ブタは辺りに散らばった木を投げ付けます。
「ぐへへ、無駄な抵抗を……。ちょ、そんな太いのらめぇ! ぎゃあ!」
二匹が投げた太い木は、オオカミのたんこぶを直撃しました。
たんこぶは雪だるまみたいになりました。
「あがががが……!」
オオカミが痛がっているすきに、長男ブタと次男ブタは三男のレンガの家に逃げ込みました。
しかしレンガの家はまだ作り途中で、柱と屋根はありますが、壁が未完成でした。
「くっくっく、吹き飛ばすまでもないな。三匹まとめて食ってやる!」
「うわー! 助けてー!」
「誰かー!」
「お母さーん!」
長男ブタと次男ブタと三男ブタは、作りかけのレンガを手当たり次第に投げました。
「おい! ちょっ! それは当たったらシャレにならないだろ! やめっ! こんなのお子様方が真似したらどうするんだ! コンプライアンスとかへの配慮がぐわぁ!」
レンガがクリーンヒットし、オオカミの頭のたんこぶは三段重ねのアイスみたいになりました。
オオカミは、「こんなの絶対おかしいよ」と泣きながら森に帰りました。
その後三匹は協力してレンガの家を完成させて、仲良く暮らしました。
オオカミは『世にも珍しい三段重ねのたんこぶ!』とテレビ番組に取材されて一躍有名人になり、美味しいものをいっぱい食べられましたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
ギャグのお陰で、煮っ◯がしにならずに済みました。
良かったね! オオカミ!
『三びきの子ブタ』のオマージュ作品として、『3びきのかわいいオオカミ』という絵本があります。
大学時代の知人からクリスマスのプレゼント交換でもらったのですが、可愛さと話のぶっ飛び方が最高です。
オオカミが三匹で協力してレンガの家を作ったところ、悪い大ブタがやってきて、家を吹き飛ばそうとします。
しかしレンガの家は壊れません。
すると悪い大ブタはハンマーを持ち出して……。
エスカレートするお家と大ブタの悪行が堪りません!
いつか書きたいあんな話。
それでは次回は赤ずきんネクストシーズン……。
ダメ? やだ? 仕方ないなぁ。そのたんこぶ引っ込むまでだよ?
では次回『シンデレラ』で参りたいと思います。
よろしくお願いいたします。