弟が闇堕ちしてしまったので、不幸な未来を防ぐために姉は人生をやり直す
遅くなりましたが日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第六十弾。
キリ番恒例、元話は伏せてお送りいたします。
なろう風にアレンジしましたが、何かすぐバレそうな予感……。
サブタイトルでわかった人は僕と握手!
わからなかった方は推理しながらお楽しみください。
「とうとうこの日が来た……! 姉上の仇……!」
「や、やめろ……! やめてくれ……! あれはあの娘が勝手に……!」
「貴様のせいだ……! そうでなければあの姉上が自ら死など選ぶはずがない……!」
その顔は悪鬼のように恐ろしげに見えました。
そんな、優しかった弟がこんな風に変わってしまうなんて……!
家の再興を目指す弟の足枷にならないよう私は自ら命を絶ったのに、それは間違いだったというの……!?
「さぁ罪を償え……。貴様のその命でなぁ!」
「ひぃ……! た、助けて……!」
「……何? 助けて……? 助けて、だと……? たぁすぅけぇてぇだぁとぉ!?」
「あ、あわわわ……! お、お助けぇ……!」
あぁ! 閻魔様もかくやという怒りの顔!
姉である私ですら、身震いが止まらない!
弟を守護する霊となった私には身体がないのに!
「何の反省もないようだな……! ならば一思いには殺さん……!」
「そ、それは……?」
「竹の鋸だ……。これで首を切ってやる……。これは切れ味が悪いからな……。ゆっくりゆっくり、痛みをたっぷり味わって後悔の中苦しんで死ねえええ!」
「い、嫌だあああ! 許してえええ!」
こんな地獄のような光景を見たくはなかった……!
たとえ父の嫌疑が晴れたとしても、弟が父の跡を継ぐ事を許されたとしても、こんな事になるのなら……!
どうか神様! この弟の未来に光を!
『死してなお弟を心から思いやる篤実な娘よ……。再び苦難に遭う恐れがあっても、やり直す覚悟はおありですか……?』
!?
な、何!?
光が全てを包み込んで……!?
「はっ!?」
光が晴れると、見慣れた天井……?
ここは、私の家……?
跳ね起きて周りを見回すと、隣の布団にはあどけない顔で眠る弟の姿……!
夢……?
いいえ、父が陥れられて、母と弟と乳母との四人で旅をし、人買いに捕まり、過酷な扱いの果てに弟を逃すため自ら命を絶った記憶は、夢では片付けられない……!
それにあの声……!
「もしや神様の加護で、過去に戻れた……!?」
だとしたら、あの地獄のような光景を変える事ができるかもしれない!
まずは父上に陰謀に気をつけるようお話しなければ!
確か父上の管理する森に火を放ち、それを理由に父上は弾劾されたはず……。
神様が夢でお告げをくださったと言えば、無碍にはされまい!
でもその陰謀は防げても、いずれ別の形で害される可能性が……。
そもそも何故温厚な父上が恨まれて……?
「あっ!」
そういえば父上は、私を娶りたいとしつこく迫る上司の方に再三お断りしたと仰っていた……。
それが恨みの元なら私が早くに嫁いでしまえば、恨みの矛先もなくなるのでは!?
以前に文をくださった若武者様……。
あの方の元になら……!
神様!
私は家族のため、領民のため、そして私の幸せのために、このやり直しの生を懸命に生き抜いて見せます!
読了ありがとうございます。
なろうテンプレを使えば、悲劇の姉もこれこの通り。
やっぱりなろうテンプレは最高だぜ!
あ、元ネタわかりませんでした?
ん〜、ヒントと言っても難しい……。
じっくり読めばわかりますよー。
ゅったりした空間で考えるのも良い方法です。
とにかく大切なのは諦めない事。
ずっとわからないままというのも嫌でしょう?
しばらく経てば、わかる事もありますし。
おや、どうしても今知りたいですか?
うん、ではこの文を上から読んでみてください。
ミッションコンプリート。
次回は『泣いた赤鬼』で書こうと思います。
よろしくお願いいたします。