【混ぜるな危険】カエルの王子様 その一
日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第五十六弾。
今回は『カエルの王子様』を【混ぜるな危険】でお送りします。
原作では壁に叩きつけられて魔法が解ける王子様ですが、それをベースにするとドM王子が爆誕しそうだったので……。
どうぞお楽しみください。
昔々、ある国の王様にはとても美しいお姫様がいました。
お姫様は父親である王様からもらった金色の鞠を、とても大事にしていました。
ある日の事。
城の近くにある森に、お姫様は遊びに行きました。
お気に入りの金の鞠を持って、森の中の泉に向かいます。
泉の近くは涼しく気持ちがいいので、お姫様のお気に入りの場所なのでした。
「あぁ、ここは本当に素敵な場所ね」
ご機嫌になったお姫様は、金の鞠をついて遊び始めました。
てん、てん、てん。
鞠は小気味良い音を立てて跳ねます。
するとお姫様の手元が狂い、鞠はてんてんと泉の方に転がっていってしまいました。
「あぁ!」
お姫様の悲鳴と共に、鞠は泉に落ちて沈んでしまいました。
お姫様は悲しくて悲しくて、声を上げて泣きました。
「ゲロゲロ。お嬢さん、何をそんなに泣いているんだい?」
お姫様が顔を上げると、そこには一匹のカエルがいました。
「私の大事な金色の鞠を、この泉に落としてしまったの」
「そうか。それは悲しいね。じゃあ僕が取ってこようか」
「本当!?」
「ただし、僕を君の家に連れて行って、君の器からご飯を食べて、君の器から飲み物をもらい、君のベッドで一緒に寝させてくれるなら、だけど」
「え……」
お姫様は迷いました。
金色の鞠は取り戻したいですが、カエルに自分の食器やベッドを貸すのはあまり良い気分はしません。
「どうしよう……」
その時です。
泉がぱあっと光り、水の中から女神様が現れました。
「あなたが落としたのは金の鞠ですか? 銀の鞠ですか? それとも……、あ、あれ? これも金の鞠!?」
女神様は想定外の事態に慌てました。
「と、とりあえずこれをどうぞ!」
「あ、ありがとう、ございます……」
お姫様は金色の鞠の他に、金の鞠と銀の鞠をもらいました。
「で、ではこれで失礼いたします!」
「あ、はい、どうも……」
女神様の消えた泉を呆然と見つめるお姫様の横で、カエルはぷんぷんと怒りました。
「僕の呪いを解くチャンスを! 一言文句を言ってやる!」
「えっ、呪いって……?」
止める間もなく、カエルは泉に飛び込みました。
するとまた泉が光り、女神様が現れました。
「あなたが落としたのはこの金のカエルですか? 銀のカエルですか? それともこの」
「離せ! 離せー!」
「王子様が魔女の呪いで姿を変えられたカエルですか?」
「えっ……」
「あっ……」
「ちょっおまっ」
さっきの金色の鞠での動揺が収まっていなかった女神様は、凄まじいネタバレをしてしまいました。
気まずい沈黙が流れます。
「えっと、その……、い、家に連れて帰って、自分の器やベッドを貸してあげたら呪いは解けるっぽいので、あの、後よろしくお願いしますっ!」
「え、そんな雑な……」
お姫様にカエルを押し付けると、女神様は泉に消えました。
泉にはすぐさま氷が張り、ご丁寧に『本日閉店』の文字まで浮かび上がりました。
「……えっと、じゃあ、うち来る……?」
「う、うん……」
こうしてカエルにされた王子様の呪いは解けて、お姫様と結婚して幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
昔思っていた、「この泉に金の斧落としたらどうなるんだろう」が形になりました。
結論:女神様がバグる。
でもポンコツ女神様のお陰で呪いが解けたから、めでたしめでたしってことでさ……。こらえてくれ。
次回は『金のがちょう』で書いてみようと思います。
よろしくお願いいたします。




