【混ぜるな危険】赤い靴 その一
遅くなりましたが、日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第四十九弾。
今回は『赤い靴』です。
オリジナルでは約束を守らなかった事で呪われ、踊り続ける靴から逃れるために足を切断する展開があります。
そんな凄惨な展開から守るために、今二つの物語が手を組んだ!
どうぞお楽しみください。
昔々あるところに、カーレンという女の子がいました。
カーレンは親のいないみなしごでした。
それを可哀想に思ったお金持ちのおばあさんが、カーレンを引き取ってくれました。
ある時、カーレンは街の靴屋で赤い靴を見つけました。
「まぁ素敵な靴!」
その真っ赤な靴は、昔見たお姫様の靴によく似ていて、カーレンはどうしてもその靴が欲しくなりました。
「おばあさん、私にあの靴を買ってくださらない?」
「それは構わないけど、教会にお祈りに行く時には派手な格好は駄目と決められているから、その時には履いて行かないようにね」
「わかりましたおばあさん!」
しかし真っ赤な靴がとても気に入ったカーレンは、どこに行くにもその靴を履き、ついには教会の礼拝にまで履いて行ってしまったのです。
「きゃあ! 足が勝手に踊り出したわ!」
カーレンの赤い靴には呪いがかかり、脱ぐ事も踊るのをやめる事もできなくなってしまいました。
カーレンは自分のした事を後悔して、泣きながら踊りながら、おばあさんに相談しました。
「おばあさん! ごめんなさい! 私、この靴を履いて教会の礼拝に行ってしまったの! そうしたら靴が脱げない上に、踊りが止まらないの! どうしたらいいの!?」
「落ち着いてよくお聞きカーレン。今日の夜、お城で舞踏会があるの。そこに行って踊り、十二時の鐘がなったら急いで帰っておいで」
「それでこの靴は脱げるの?」
「ちゃんと約束を守れば大丈夫。さぁ、踊りながらじゃ時間がかかるから、今からお城に向かいなさい」
カーレンは不安なまま、お城へと踊りながら向かいました。
城に着いたカーレンは舞踏会の会場に踊りながら入り、そのまま一人で踊り続けました。
周りで踊っていた人達は(何だこいつ……)と思いながら遠巻きにしていました。
(恥ずかしい……! でもおばあさんの言った通りにしないと……!)
カーレンは必死に踊り続けました。
すると十二時の鐘がなりました。
「今だわ!」
カーレンが大急ぎで会場を出て、階段を駆け降りると、赤い靴はぽろっと脱げました。
「やったわ! ありがとうおばあさん!」
家に帰ったカーレンは、おばあさんに靴が脱げた事を報告しました。
「それは良かったねぇ」
「でもおばあさん、なぜおばあさんは舞踏会に行けば靴が脱げると知っていたの?」
「それはね、おばあさんも昔、あそこで靴が脱げたからよ」
そう言うとおばあさんはウインクをしましたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
夫の引退後市井に降りて、街の困り事を解決するべくお金持ちのおばあさんとして様々な人に手を差し伸べる老婦人。
一体何デレラなんだ……。
次回は五十回記念なので、また物語を伏せて書く予定です。
よろしくお願いいたします。