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赤ずきん【混ぜるな危険】その二

お口直しのパロディ昔話。

前話の後書きでスプラッタなネタを書いてしまいましたので、大急ぎで書き上げました。

何か昔話以外のものが混じっていますが、気にせずお楽しみください。

 昔々あるところに、赤ずきんという女の子がいました。

 赤ずきんはいつも赤い頭巾を被っていたので、そう呼ばれていたのです。

 ある日赤ずきんは、森に住むおばあさんのお見舞いに行くために、森の小道を歩いていました。

 そこにオオカミが現れました。


「おやおや、赤ずきんちゃん、どこに行くんだい?」

「この道をまっすぐ行ったところにあるおばあさんの家に、お見舞いに行くの」


 オオカミは心の中で舌なめずりをしました。

 おばあさんの家の中なら、狩人に見つかる事なく赤ずきんとおばあさんを食べられると考えたのです。


「お見舞いにはお花がいるんじゃないかな? そこの小道を少し行ったところに、花がいっぱい咲いているよ」

「そうね。オオカミさん、ありがとう!」


 赤ずきんが小道に入ったのを見て、オオカミはおばあさんの家に走りました。


 こんこん。


「誰だい?」

「赤ずきんよ」

「赤ずきんはそんなしゃがれた声じゃないねぇ。テキーラ酒でもお持ちになったのかい? あんたオオカミだろ。帰んな」


 おばあさんはあっさりオオカミを追い返しました。


「くっそー! ならのど飴だ!」


 オオカミはのど飴を舐めて出直しました。

 こんこん。


「誰だい?」

「赤ずきんよ」


 それは魂の乗った迫真の裏声でした。


「おやおや可愛い赤ずきんの声だねぇ。でも戸の下から見える足は真っ黒だねぇ。頭脳がまぬけかい? あんたオオカミだろ。帰んな」


 おばあさんは再びオオカミを追い返しました。


「ちっくしょおおおぉぉぉ! なら可愛い系の靴下とパンプスだ!」


 オオカミは大急ぎで靴屋に走りました。

 店員からは変質者を見る目で見られました。


「心の激痛はばばぁをざまぁする事でやわらげるッ! さぁ今度こそ!」


 こんこん。


「誰だい」

「赤ずきんよ」

「声は赤ずきんだし、足元も可愛らしいねぇ。化けるのなら頭巾を忘れずに被るんじゃな」

「ハッ! そ…… そうかッ! 気がつかなかった…… しまったッ!」


 オオカミは男泣きに泣きました。

 しかしオオカミは、諦めようとしません。

 ここまで負けた分を取り戻さないと気が収まらないと思っていたのです。

 典型的な負けギャンブラーの思考でした。


「……こォォれしきィィの事ッ! こォれしきィィイイのオオ事ォォオオオッ!!」


 オオカミは服屋で赤い頭巾だけでなく、女の子向けの可愛いワンピースも買いました。

 店員はドン引きでした。


 こんこん。


「誰だい?」

「赤ずきんよ」

「あぁ、入っておいで」


 鍵を外す音が、オオカミには天からの祝福に聞こえました。


(成し遂げたぜ……!)


 そして開く扉。

 身構えるオオカミ。

 そして。


 パシャシャシャシャシャシャシャ!


「!?」


 連続で切られるシャッター音。

 そこには扉を開けたおばあさんと、スマホを構えた赤ずきん。


「な、そんな、バカな……」

「まぁオオカミさん、可愛い格好!」

「そうだねぇ赤ずきんや。これをイ◯スタやツ◯ッターに上げたら、きっとオオカミさんが怖いっていう人はいなくなるねぇ」


 オオカミはおばあさんと赤ずきんの笑顔を見て、罠だった事を察しました。


「お、おい」

「お前は次に『俺が悪かったからやめて』と言う」

「お、俺が悪かったからやめてくれッ! はッ!?」


 おばあさんはニヤリと笑います。


「どうする赤ずきん? 私を食べようとしたオオカミを許すかねぇ?」


 赤ずきんはにっこり微笑みます。


「だ め で す 」


 【投稿】ピコッ


「あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ 」


 オオカミは泣きながら家に帰りました。

 そしてある程度泣きわめいてスッキリした後は、女装系Y◯uTuberとして注目されるようになりましたとさ。


 めでたしめでたし。

読了ありがとうございます。


はい。『オオカミと七匹の子ヤギ』の扉の前の問答が混ざってました。

え? 波紋? 黄金の精神? 僕よくわかんないなー(棒)。


あまりやると怒られそうなので、次の混ぜるな危険シリーズは大人しくやります。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初のテキーラ酒で、女装ネタを直ぐに思いつかなかった!悔しい!でも笑っちゃう(笑) [気になる点] よくよく考えると、相手の駄目なところを指摘して改善するように仕向けてるのがおかしいと感じ…
[一言] うわーっ! 斬新だっ! これは、効く!
[良い点] お二人とも容赦ないで有りますな。 狼さんもいつの間にか目的と手段が入れ替わっていましたが、この思考パターンには身に覚えが有るので気を付けたいですね。 [一言] ひとしきり笑った後で気が付い…
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