金の斧 銀の斧 その二
パロディ昔話第二十一弾。『金の斧 銀の斧』セカンドシーズンです。
勢いです。
大事なのは考えるのではなく感じる事です。
どうかのんびりとお楽しみください。
昔々あるところに、とても正直者の木こりがいました。
いつものように森で木を切っていると、手が滑って斧が泉に落ちてしまいました。
「しまった!」
木こりが泉のほとりで嘆いていると、泉が光りました。
「え、一体何が……!?」
木こりが驚いていると、光の中から美しい女性が現れました。
「私はこの泉の女神です。貴方が落としたのはこの金の斧ですか? それともこの銀の斧ですか? それとも……」
「いえ、私が落としたのは……」
鉄の斧です。
そう言おうとした木こりの目の前に、
「クリスタルの斧ですか?」
「え?」
光り輝く斧が浮かび上がります。
「それともルビーの斧? サファイアの斧? エメラルドの斧?」
「は、はい?」
明らかに木に負けそうな、煌びやかな斧が空中に並べられていきます。
「それとも ダイヤモンド? パール? プラチナ?」
「き、きれいですね!?」
あまりの事態に、木こりはそんなベタな感想しか言えません。
「ハートゴールド? ソウルシルバー?」
「材質が良くわからないです!」
「ブラック? ホワイト?」
「鉄だから色は黒に近いと思いますけど!」
「X? Y? サン? ムーン? ソード? シールド?」
「斧関係ないですよね!? っていうかポ◯モンじゃないですかっ!」
「そのツッコミが聞きたかった」
無免許医のような良い顔をした女神は、数多の斧や、斧かどうかよくわからないものと共に、湖の中に沈んでいきました。
「……いや僕の斧は!?」
木こりのツッコミは、森に空しく響き渡りましたとさ。
おしまい。
読了ありがとうございます。
この話をすると、大抵子どものツッコミで終わります。
と言うかツッコミありきの話なので、ない時は辛いですね。
初期を知らない子が増えてきてますので、そのうちお蔵入りになるかも……。
それでは次回、『ウサギとカメ』セカンドシーズンでお会いしましょう。