ウサギとカメ その一
パロディ昔話第十九弾。今回は「ウサギとカメ」です。
私の中で白雪姫の鏡コントばりにネタが多いのに、なぜこれまで書いてこなかったのか、コレがわからない。
さっくり短めですので、お茶請けにでもどうぞ。
昔々ある所に、足の速さを自慢しているウサギがいました。
ウサギは足の遅い動物を、いつもバカにしていました。
ある日、カメを見つけたウサギは、早速からかいに行きました。
「いやー、いつものろいねぇカメ君! 世界で一番のろいんじゃないの? そこんとこいくとボクは速いよ!」
「……」
そこに馬が通りかかりました。
「ウサギ、お前オレより足遅いよな」
「……すいません」
「カメ、気にするな。こいつが調子に乗っているだけだ」
「……ありがとうございます」
馬は悠々と去って行きました。
しかしウサギは、こりていませんでした。
「まー、確かにウマさんには勝てないけど、でもカメさんののろさよりはマシだからー! ぷぷー!」
そこにチーターが通りかかりました。
「お前、オレより遅いよな」
「……すいません」
「……あと、お前うまそうだな」
「ひぃっ!」
ウサギはまさに脱兎の如く逃げ出しました。
「カメ、あいつがまた調子に乗ったらオレに言えよ」
「……ありがとうございます」
こうしてウサギは足の遅い動物を、バカにする事はなくなりましたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
因幡の素兎もそうですが、何故ウサギは余計な事を言ってしまうのか……。イキリ体質?
でも『悪役』のオオカミや『狡知』のキツネとはまた違う話の流れになるのは、やはりどことなくお間抜けで、憎めないキャラだからでしょうか。
次回は二十回達成記念!
元話は内緒のまま、昔話をベースにした物語をやります!
「十回の時に記念とかやってないじゃん」とか言っちゃダメ!
それでは次回『三峰の果て』、お楽しみに!
ちなみにこの話、子どもには話した事ありません(重要)。