桃太郎 その六
お久し振りな日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第百六十六弾です。
今回は『桃太郎』で書かせていただきました。
いやー、お休みって本っ当に良いものですねっ。
……毎月ゴールデンウィークがあったら良いのに……。
どうぞお楽しみください。
それは桃太郎が十六歳になる誕生日のことでした。
「起きなされ、起きなされ、わたしの可愛い桃太郎や」
桃太郎が目を覚ますと、桃に入って川を流れていた自分を拾ってくれたおばあさんの姿が見えました。
「おはよう、桃太郎。もう朝じゃよ。今日はとても大切な日。桃太郎が村長に旅立ちの許しを頂く日だったじゃろう」
言われて桃太郎は布団から出ました。
着替えを済ませると、おばあさんは真剣な、それでいて少し寂しそうな表情を浮かべました。
「この日のためにお前を勇敢な男の子に育て上げたつもりじゃ。さあ、わしに付いて来るがえぇ」
桃太郎はおばあさんに連れられて、村長の家の前までやって来ました。
「ここから真っ直ぐ行くと村長のお家じゃ。ちゃんと挨拶するんじゃよ。さあ、行ってこい」
村長の家に行くと、桃太郎は奥の間に通されました。
村長は豊かな髭を揺らしながら、桃太郎に話しかけます。
「よくぞ来た! 桃から生まれた桃太郎よ! すでに育ての親から聞いておろう。鬼ヶ島の鬼が近隣の村々を荒らしまわっておる」
桃太郎はこくんと頷きました。
「しかしその鬼を恐れず、退治したいというそなたの願い、しかと聞き届けたぞ。そなたならきっと鬼を退治し、世界を平和に導いてくれるであろう」
村長の言葉に、桃太郎は自分の意志を示すように、更に強く頷きました。
「鬼は鬼ヶ島におる! ほとんどの人々は未だ鬼ヶ島の名すら知らぬ。だがこのままでは世界は鬼達の手に。それだけは何としても食い止めねばならぬ!」
願いと激励を込めた村長の言葉が、桃太郎の胸に新たな火を灯します。
「桃太郎よ! 鬼ヶ島の鬼を倒してまいれ! しかし一人ではこれまで鬼退治に向かった者達の不運を再びたどるやも知れぬ」
そう言うと村長は桃太郎に、おばあさんが作り、村長の家で清めの儀式を行ったきび団子を渡しました。
「村の外で動物を見つけ、これで仲間にするがよかろう」
こうして桃太郎は旅立ちの許しを得たのでした。
「ではまた会おう、桃太郎よ」
この後桃太郎は、犬、猿、雉をお供に海を渡り、鬼ヶ島へと向かいます。
そして旅の末に、鬼ヶ島へと到着しました。
数多の鬼を退け、鬼ヶ島の最奥に進むと、そこには鬼の王・大鬼が不敵な笑みを浮かべておりました。
「ついにここまで来たか、桃太郎とやら。この鬼ヶ島の王たる大鬼さまに逆らおうなどと、身のほどを知らぬ者たちじゃな。ここに来た事を悔やむがよい」
そう言うと大鬼は笑みを消し、
「そなたらを喰らいつくしてくれるわっ!」
と凄まじい叫びを上げました。
しかし桃太郎とお供の三匹はそれに怯む事なく、大鬼へと飛びかかりました。
激闘の末、桃太郎達は大鬼を降参させ、二度と人を襲わないと約束させました。
そして人々から奪った宝物を取り返し、村へと戻りました。
村長に報告すると、
「よくぞ鬼ヶ島の鬼を倒した! 皆の者、祝いの宴じゃ!」
こうして桃太郎は、おじいさんとおばあさん、そしてお供の三匹と幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
こういうRPGを知ってる?
桃◯郎伝説かな(すっとぼけ)?
台詞はこれくらい改変してれば大丈夫、なはず。
ほう、経験が生きたな(白目)。
次回は『かぐや姫』で書きたいと思います。
よろしくお願いいたします。