仁義と侠気に生きる姫
日曜の元気なご挨拶。
……日曜?
日曜だよね……?
……うん、良かった日曜ですね。
パロディ昔話第百六十弾です。
今回は番なので、元話を伏せて書かせていただきました。
どうぞお楽しみください。
「おどれ……。その短刀で奴の命ぁ奪ってこい言うたやろが……」
「……」
「親父の娘だからって姫姫呼ばれてちやほやされて、どたままでイかれたんかァ!? あァ!?」
首を振る姫と呼ばれた少女に、女の顔が憎々しげに歪む。
「奴の命奪らんかったらおどれの命が無いんやぞ! わかっとんのか!」
「……」
叩きつけるような怒声。
しかし告げられた姫は表情を変えない。
女の顔に更に朱が増していく。
「……死ぬのも覚悟の上、か……!? ボケがァ! おどれが命の恩人いう事にも気付かんで、他所の女にうつつ抜かす男一人のために命捨てる言うんか!」
「……」
火を吹くような女の怒りにも姫は動じない。
そこには静かな覚悟があった。
「……! 命を捨てるんやなくて、命懸けで愛している言うんか、おどれ……」
「……」
返事はない。
頷きもしない。
ただ真っ直ぐに女を見つめる姫の、激しい波にも動じない巨岩のような覚悟に、女は言葉を失う。
「……」
「……」
「……死ぬなぁ……」
女の目から涙が溢れた。
「何でこんなんでお前が死なないかんのじゃ……! 姉妹も同然に育ってきたお前を、何でこんな形で失わないかんのじゃ……!」
「……」
姫は女の前に短剣を置くと、項垂れるその肩を優しく抱いた。
今生の別れを覚悟した二人の、言葉のない別れがそこにあった。
女の声が非常に大きかったため、声を失い説明できなかった姫の事情は皆の知るところとなり、真実に気付いた王子様は姫と結婚した。
こうして姫は命を長らえ、いつまでも幸せに暮らしたと言う事だった。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
仁義と
侠気に生きる
姫
略して仁侠姫!
はい、これがやりたかっただけです。
今年一年お世話になりました。
投稿ペースがガタ落ちしてますが、まだまだ書く事は続けていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。