白雪姫 その四
昨日は仕事の後飲みに行ってそのまま寝てしまい、できなかった日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第百五十七弾です。
今回は『白雪姫』で書かせていただきました。
姫に出番はないけどな!
魔女と鏡のコントです。
どうぞお楽しみください。
昔々あるところに、白雪姫というお姫様がおりました。
白雪姫のお母さんが早くに亡くなってしまったので、お父さんである王様は、新しいお妃様を迎えました。
しかしそれは魔女だったのです。
魔女は魔法の鏡に問いかけます。
「鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだぁれ?」
「それは白雪姫でございます」
「何ですって!?」
王様に選ばれた自分が世界一美しいと思っていた魔女は怒りました。
その時です。
「『この世で一番美しい人』を検索した人は、このような検索もしています。『自分磨き エステ』『自分磨き サウナ』『自分磨き 只管打坐』」
「え、ちょっと興味ある。……あら、意外と近くでもできるのね。料金は……、お手頃じゃない! 早速予約して……。クーポンある上にポイントも付くの!?」
こうして魔女は自分磨きにハマりました。
エステで肌ツヤツヤになり、サウナで整い、お寺で座禅を組んで自分を見つめ直した魔女は、世界一の美女という事へのこだわりを捨てました。
するとどうでしょう。
顔から意地悪そうな皺が消え、落ち着きのある上品な淑女にしか見えなくなりました。
「魔女様。とてもお美しくございます」
「……ありがとう。でもこの容姿は、どんなに頑張っても十年経てば衰えるもの。ならば心の美しさを磨き上げていきたいものだわ」
「『心の美しさ』を検索した人は、このような検索もしています。『見返り 求めない』『心からの愛情 家族』『優しさに包まれたなら きっと』」
「ありがとう。見せて頂戴」
こうして魔女はお妃として、王様の奥さんとして、そして白雪姫の母として、非の打ちどころのない淑女となりました。
そしていつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
こんなに検索結果に真面目に取り組んでいる。
魔女は素直ですか?
可愛いと思いませんか? あなた。
次回は『人魚姫』で書きたいと思います。
よろしくお願いいたします。