金の斧 銀の斧 その四
日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第百四十八弾です。
今回は『金の斧 銀の斧』で書かせていただきました。
正直者が得をする話ですが、今回は……。
どうぞお楽しみください。
昔々あるところに木こりがいました。
木こりはとても正直者でした。
ある時、木こりは森の中で木を切っておりました。
「おっと!」
その時木こりの手が滑り、斧が近くの泉に沈んでしまいました。
「あー、こりゃどうすっべ……」
木こりは沈んだ斧を探そうと泉を覗き込みましたが、泉は深く、斧の影さえ見えません。
その時、泉が美しく輝きました。
「な、何だ!?」
木こりは驚いて尻もちをつきました。
その見開かれた目の前に、泉の女神が現れました。
「あなたが落としたのは、この金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」
「え、ど、どっちでもねぇだ。普通の鉄の斧だよ」
木こりがそう答えると、女神はにっこりと微笑みました。
「あなたは正直者ですね。ではあなたの落とした斧に加えて、この金の斧と銀の斧も差し上げましょう」
「え、えぇんですか! ありがとうごぜぇます!」
喜ぶ木こりに斧を三本持った女神が近づきます。
「いやー、それにしても女神様は美人だなぁ」
「まぁ! 正直な方ですね!」
「でもおっぱいは残ね」
「ふんっ!」
木こりが何かを言いかけた瞬間、女神の手が目にも止まらない速さで動き、三本の斧は木こりの両脇の下と足の間に突き刺さっていました。
「ひっ……!」
「木こりさん?」
「はっはい!」
「正直な事は美徳です。ですが口にするべき言葉かどうかは、よく考えましょうね?」
「はい……!」
こうして木こりは金の斧と銀の斧を手に入れました。
そして一言多い性格も治り、村人から好かれるようになったとの事です。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
口は災いの門。
女神様でなければ、その首が繋がっていたかどうか……。
次回ももう一話『金の斧 銀の斧』で書こうと思います。
よろしくお願いいたします。