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瓜子姫 その二

日曜の元気なご挨拶。

パロディ昔話第百三十七弾です。

今回も前回に続き『瓜子姫』で書かせていただきました。

今度は超パワーはありませんのでご安心を。


どうぞお楽しみください。

 昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

 おばあさんが川で洗濯をしていると、上流から大きな瓜が流れてきました。


「まぁ、何て大きな瓜じゃろう。おじいさんと二人で食べるべぇ」


 おばあさんは瓜を家に持って帰りました。

 山から帰って来たおじいさんは驚きました。


「はぁー……! 何ちゅう大きな瓜じゃ……!」

「川から流れてきただよ。さ、切って食うべ」


 おばあさんが切ろうとしたその時、瓜はひとりでに割れて、中から可愛らしい女の子が出てきました。


「こりゃどうした事じゃ……!」

「きっと神様が、子どものいないわしらに授けてくれたんじゃ……!」


 おじいさんとおばあさんは女の子に「瓜子姫」と名付けて、それはそれは大事に育てました。

 すると瓜子姫は美しく成長し、その噂はお城のお殿様の耳にまで届くほどでした。


「それほど美しい娘なら、我が妻に欲しい」


 お殿様の言葉に、お城から着物やお金が沢山届けられました。

 その話を聞いて、山に住む天邪鬼あまのじゃくという鬼は妬ましくてたまりません。


「美しいというだけでも妬ましいのに、お殿様のお嫁さん!? その幸せ、ぶち壊してやる!」


 天邪鬼は瓜子姫の家に行き、おじいさんとおばあさんが出かけたのを見て、家に入りました。

 瓜子姫は奥の部屋ではた織りをしていました。

 その手元にはいくつもの見事な布がありました。


「くきぃー! 機織りまで上手とか、女子力の塊じゃない! 許さない!」

「あ、貴女は!?」

「あたいは天邪鬼! お殿様と結婚するなんて許さない! お前を捕まえて私が入れ替わってやる!」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

「へ?」


 目を丸くする天邪鬼に、瓜子姫は事情を説明します。


「お殿様は私の事を噂だけでしか知らないのに、結婚を決めてしまいました……。会った事もない人との結婚なんて恐ろしくて……」

「で、でも玉の輿じゃないか! 一生贅沢な暮らしができるんだよ!?」

「でも私を育ててくれたおじいさんとおばあさんに会えなくなるくらいなら、貧乏でもここで暮らしていたい……!」

「ふえー、勿体ねぇ……。あたいならそんなの関係なく嫁に行くけどなぁ……」

「だから良ければ代わってください! 幸いお殿様は私の顔を知りませんので……!」

「ほ、本当にいいのか!? ……いや、でもあたいの顔じゃすぐにバレちまうよ……」

「大丈夫です!」


 天邪鬼は瓜子姫にお化粧のやり方を教わりました。

 するとどうでしょう。

 瓜子姫に勝るとも劣らない美少女になったではありませんか。


「これが、あたい……?」

「思った以上ですわ! これならきっとお殿様にも気に入られますわ!」

「お、おう、頑張る……」


 その後帰って来たおじいさんとおばあさんに事情を話し、天邪鬼に結婚してもらう事で話が決まりました。


「ありがとうなぁ天邪鬼さん……!」

「瓜子姫はわしらへの恩返しだと、毎日泣きながら機織りをしておったから……」

「それであんなに沢山の布を……」

「でも天邪鬼さんのお陰で、おじいさんおばあさんと離れないで済むわ! 本当にありがとう!」

「よ、よせよ……。利害の一致ってやつなんだからよ……」


 こうして瓜子姫は、おじいさんおばあさんと仲良く暮らしました。

 そうそう、お殿様の元に嫁いだ天邪鬼は、美しい上に素直じゃない感じがお殿様の好みにぴったりで、それはそれは溺愛されましたとさ。

 めでたしめでたし。

読了ありがとうございます。


いくらお殿様とは言え、顔も知らない人との結婚は嫌かなーと思い、天邪鬼に押し付けてみました。

まぁお殿様も天邪鬼も幸せみたいだし、結果オーライ?


次回も『瓜子姫』で書こうと思います。

瓜子姫と天邪鬼姉妹説を私なりのアレンジで。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] まさかの結婚しないバージョン!?
[良い点] なんというハッピーエンド! お殿様がツンデレ美少女好きで、さらに良し(笑)。 [一言] 次回は『ズルいズルい妹』編でしょうか?(笑)
感想一覧
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