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ネズミのすもう その一

日曜の元気なご挨拶。

パロディ昔話第百三十五弾です。

今回は『ネズミのすもう』で書かせていただきました。


勢いだけで押し切りました。

どうぞお楽しみください。

 昔々あるところに、相撲が大好きなおじいさんがいました。

 ある時おじいさんは、森の中で妙な声を聞きました。


「はっけよい! のこったのこった!」


 不思議に思ったおじいさんが声のする方に進むと、切り株を囲んでネズミたちが声をあげていました。

 更にそっと近づいてみると、切り株の上では二匹のネズミが相撲を取っているのが見えました。


「のこった! のこった! のこっ……、あぁ!」


 余裕を持って相撲を取っていた大柄なネズミが、小さなネズミを持ち上げました。


「ふんっ!」

「わぁっ!」


 小さなネズミは切り株から落とされてしまいました。


「長者海〜! 長者海〜!」


 長者海と呼ばれたネズミは、切り株の上で誇らしげに四股を踏みました。

 一方負けたネズミは、観客のネズミから心配されていました。


「小暮山……、やっぱりお前じゃ長者海には勝てないよ……」

「相手は長者さんのところでたらふく飯を食ってるんだからさ……」

「!」


 思わずおじいさんは草むらをかき分けて、切り株のそばに駆け寄りました。


「わ! 見つかった!」

「逃げろ!」


 ネズミ達は慌てて逃げました。

 小暮山と呼ばれていた小さなネズミだけが、その場に残されました。


「お、おじいさん……」


 驚いた顔のネズミにおじいさんは、


「フヘハハハハ! お前、やはり吾輩の家のネズミであったか!」


 高笑いをしながら語りかけました。


「ご、ごめんなさい!」

「何を謝るのだ。吾輩には詫びられる心当たりなどないぞ?」

「で、でも、おじいさんは相撲が大好きでしょ……? なのに僕、相撲で全然勝てなくて、おじいさんに申し訳なくて……!」

「フヘハハハハ! 何かと思えばそんな事か! 良いか? 相撲とは神事だ。心と技と身体を高め、真剣勝負を神に捧げるものだ! 勝ち負けは結果に過ぎん!」

「あ……!」

「だが取り組むにしても、目標があった方が身が入るのも確かである。お前がその気なら吾輩が稽古をつけてやろう」

「ほ、本当!?」

「お前を横綱にしてやろうか! フヘハハハハ!」

「うん! 頑張る!」


 こうしておじいさんに稽古をつけてもらったネズミは、様々な技や心構えを学び、更にはとても美味しいちゃんこを作ってもらい、身体作りもしていきました。

 それでも体格で勝る長者海との相撲は三回に一回勝てるかどうかという勝率でしたが、小兵でも堂々としたその姿にネズミ達は『横綱!』と声をかけるのでした。

 めでたしめでたし。

読了ありがとうございます。


お察しの通り、「お前を横綱にしてやろうか! フヘハハハハ!」がやりたかっただけです。

あのお方ならすごく丁寧に教えてくれそうな気がして……。


「何でおじいさん?」と思われたかも知れませんが、万を超えるお歳の方はおじいさんと呼んでもおかしくはないかと……(震え声)。


次回は『瓜子姫』で書きたいと思います。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] まさか! このおじいさん、悪魔閣下がモデルですか?
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